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仕入れ資金による調達営業黒字192万円でも、8か月目に現金が▲121万円。原価は先に出て入金は分割される構造を、受注した案件を入れるだけで月次で出すExcelテンプレートです。

分割払いや後払いで受注すると、外注費や仕入れは契約した月に出ていき、入金は何か月にも分かれます。
この記事のテンプレートの初期値は、24か月の営業損益が+192万円の会社です。それでも8か月目に累積の現金が▲121万円になります。
原価は先、入金は後。黒字でも現金は沈みます。
受注した案件を入れると、月ごとの入金と累積の現金が自動で出る表です。
5シート構成。「1 前提」に粗利率・入金サイト・固定費、「2 案件一覧」に受注した案件(受注月・金額・分割回数)を入れると、「3 月次の入出金」に累積の現金と谷が自動で出ます。分割回数をすべて1にすれば、一括の場合と比べられます。
分割受注したときの入金表
前提:粗利率40% / 原価は受注と同月に発生 / 入金サイト1か月 / 固定費20万円/月 / 期首現金300万円
| 分類 | 項目 | 受注月 | 受注金額(円) | 分割回数 | 1回あたりの入金額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 案件 | A社 システム導入 | 1 | 3,000,000 | 12 | 250,000 |
| 案件 | B社 制作一式 | 2 | 1,200,000 | 6 | 200,000 |
| 案件 | C社 導入支援 | 4 | 2,400,000 | 12 | 200,000 |
| 案件 | D社 保守契約 | 6 | 900,000 | 6 | 150,000 |
| 案件 | E社 システム導入 | 8 | 3,600,000 | 24 | 150,000 |
| 案件 | F社 制作一式 | 10 | 1,500,000 | 12 | 125,000 |
| 案件 | G社 導入支援 | 13 | 2,400,000 | 12 | 200,000 |
| 案件 | H社 制作一式 | 16 | 1,800,000 | 12 | 150,000 |
| 合計 | — | — | 16,800,000 | — | — |
月次の入出金
| 月 | 入金 | 原価の支払い | 固定費 | 単月の収支 | 累積の現金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 1,800,000 | 200,000 | -2000000 | 1,000,000 |
| 2 | 250,000 | 720,000 | 200,000 | -670000 | 330,000 |
| 3 | 450,000 | 0 | 200,000 | 250,000 | 580,000 |
| 4 | 450,000 | 1,440,000 | 200,000 | -1190000 | -610000 |
| 5 | 650,000 | 0 | 200,000 | 450,000 | -160000 |
| 6 | 650,000 | 540,000 | 200,000 | -90000 | -250000 |
| 7 | 800,000 | 0 | 200,000 | 600,000 | 350,000 |
| 8 | 800,000 | 2,160,000 | 200,000 | -1560000 | -1210000 |
| 9 | 750,000 | 0 | 200,000 | 550,000 | -660000 |
| 10 | 750,000 | 900,000 | 200,000 | -350000 | -1010000 |
| 11 | 875,000 | 0 | 200,000 | 675,000 | -335000 |
| 12 | 875,000 | 0 | 200,000 | 675,000 | 340,000 |
| 13 | 725,000 | 1,440,000 | 200,000 | -915000 | -575000 |
| 14 | 675,000 | 0 | 200,000 | 475,000 | -100000 |
| 15 | 675,000 | 0 | 200,000 | 475,000 | 375,000 |
| 16 | 675,000 | 1,080,000 | 200,000 | -605000 | -230000 |
| 17 | 625,000 | 0 | 200,000 | 425,000 | 195,000 |
| 18 | 625,000 | 0 | 200,000 | 425,000 | 620,000 |
| 19 | 625,000 | 0 | 200,000 | 425,000 | 1,045,000 |
| 20 | 625,000 | 0 | 200,000 | 425,000 | 1,470,000 |
| 21 | 625,000 | 0 | 200,000 | 425,000 | 1,895,000 |
| 22 | 625,000 | 0 | 200,000 | 425,000 | 2,320,000 |
| 23 | 500,000 | 0 | 200,000 | 300,000 | 2,620,000 |
| 24 | 500,000 | 0 | 200,000 | 300,000 | 2,920,000 |
結果
| ※受注総額 | 16800000 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| ※粗利(40%) | 6,720,000 | ||||
| ※24か月の固定費 | 4,800,000 | ||||
| ※営業損益 | 1,920,000 | 黒字 | |||
| ※累積の谷 | -1210000 | 8か月目 | |||
| ※24か月目の現金 | 2,920,000 | ||||
| ※24か月で入金された額 | 14,800,000 | ||||
| ※未回収の残高 | 2,000,000 | 25か月目以降に入る | |||
| ※一括で受け取った場合の谷 | 1,000,000 | マイナスにならない | |||
| ※分割で増える必要資金 | 2,210,000 |
Excel版は、株数と1株あたり金額を入れると持株比率が自動で出ます。 入力するところは水色、自動で計算されるところはグレーに塗り分けてあります。 1枚目に使い方、最後に用語集が入っています。
コピーを押すと、タブ区切りでクリップボードに入ります。 Googleスプレッドシートに貼ると列が揃ったまま入ります(計算式は入りません)。
入っている数字はすべて記入例です。実在の会社のものではありません。 自社の数字に置き換えて使ってください。
| シート | 何をするか |
|---|---|
| はじめに | 使い方と、入れてはいけない数字 |
| 1 前提 | 粗利率・原価の時期・入金サイト・固定費・期首現金 |
| 2 案件一覧 | 受注月・金額・分割回数を入れる |
| 3 月次の入出金 | 24か月分の累積と、谷が出る |
| 4 一括と分割の比較 | 分割で増える必要資金を出す |
| 用語と計算式 | 各項目の定義 |
見込みの案件を入れると、表は必ず「足りている」と出ます。確定した受注だけを入れてください。
入力は前提5項目と、受注済みの案件だけです。
| 前提 | 意味 | 初期値 |
|---|---|---|
| 粗利率 | 原価の金額を決める | 40% |
| 原価が出る月 | 受注と同月なら0、翌月なら1 | 0 |
| 入金サイト | 請求から入金までの月数 | 1か月 |
| 月々の固定費 | 人件費・家賃など | 20万円 |
| 期首の現金 | スタート時点の残高 | 300万円 |
外注費の支払いが受注の翌月なら1、翌々月なら2です。ここを1か月ずらすだけで、谷の深さは変わります。
原価が出る月を、実態に合わせてください。
初期値の8案件(受注総額1,680万円)での動きです。
| 月 | 入金 | 原価 | 単月 | 累積 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 0 | 180万円 | −200万円 | 100万円 |
| 2 | 25万円 | 72万円 | −67万円 | 33万円 |
| 4 | 45万円 | 144万円 | −119万円 | −61万円 |
| 6 | 65万円 | 54万円 | −9万円 | −25万円 |
| 8 | 80万円 | 216万円 | −156万円 | −121万円 |
| 12 | 87.5万円 | 0 | +67.5万円 | 34万円 |
| 13 | 72.5万円 | 144万円 | −91.5万円 | −57.5万円 |
| 18 | 62.5万円 | 0 | +42.5万円 | 62万円 |
| 24 | 50万円 | 0 | +30万円 | 292万円 |
受注総額1,680万円、粗利672万円、24か月の固定費480万円。営業損益は+192万円の黒字です。それでも4か月目と8か月目に現金がマイナスになります。
8か月目はE社の案件(360万円)の原価216万円が出た月です。入金は24回に分かれるのに、原価は一度に出ます。
谷ができるのは、原価が出た月です。
同じ8案件を、すべて一括で受け取った場合です。
| 項目 | 分割 | 一括 | 差 |
|---|---|---|---|
| 累積の谷 | −121万円 | +100万円 | 221万円 |
| 24か月目の現金 | 292万円 | 492万円 | 200万円 |
| 24か月で入金された額 | 1,480万円 | 1,680万円 | 200万円 |
| 粗利の総額 | 672万円 | 672万円 | 同じ |
一括なら累積はマイナスになりません。分割にしたことで、221万円の資金を別に用意する必要が生まれます。粗利は変わらないのにです。
テンプレートで確かめる場合は、「2 案件一覧」の分割回数をすべて1にして、谷の値を見てください。元に戻せば分割の谷が戻ります。
分割で増える必要資金は221万円。粗利は同じです。
| 状況 | 何が起きるか |
|---|---|
| 受注が増える | 原価の先払いも増える |
| 案件が同じ月に重なる | その月の谷が深くなる |
| 分割回数が長い案件が増える | 回収が遅くなる |
| 大型案件が入る | 単独で谷を作る |
受注が伸びるほど、先に出る原価も比例して増えます。粗利は出ているのに現金が足りない——という状態は、この構造から生まれます。
テンプレートに「これから取る予定の案件」を追加して試算してください。受注計画を達成したときに、資金が持つかどうかが分かります。
同じ構造は 広告費の先行投資を、どこまで現金で持つか の記事でも扱っています。
受注が増えるほど谷も深くなります。
| 月 | 累積の現金 | 状態 |
|---|---|---|
| 1〜3 | +100万〜+58万円 | 期首の残高で持っている |
| 4〜6 | −61万〜−25万円 | マイナス |
| 7 | +35万円 | 一時的に回復 |
| 8〜11 | −121万〜−33.5万円 | マイナス |
| 12 | +34万円 | 回復 |
| 13〜14 | −57.5万〜−10万円 | マイナス |
| 15以降 | +37.5万円〜 | 安定してプラス |
新しい案件を取るたびに原価が出るため、回復してもまた沈みます。安定してプラスになるのは、初期の案件からの入金が積み上がってからです。
だから見るべきは「いつか黒字になるか」ではなく「マイナスの期間を越えられるか」です。谷の深さと、その期間の長さの両方を確認してください。
見るのは谷の深さと、その期間の長さです。
| 原価が出る時期 | 効果 |
|---|---|
| 受注と同月(0) | 谷が最も深い |
| 翌月(1) | 1か月分の余裕ができる |
| 翌々月(2) | 入金の開始と近づく |
入金サイトが1か月なら、原価の支払いを翌月にするだけで、最初の入金と同じ月に揃います。テンプレートの「原価が出る月」を1にして確かめてください。
ただし、下請法が適用される取引では支払期日に制限があります。受領日から60日以内、かつできる限り短く、と定められています。
支払いを遅らせる判断は 仕入先への支払いを遅らせると、何と引き換えになるか の記事で扱っています。
原価の支払いを1か月後ろに。下請法の制限は確認を。
| やること | 効果 |
|---|---|
| 請求を締め日の翌日に出す | 交渉不要で入金が早まる |
| 初回の請求を契約と同時に出す | 分割の1回目を1か月早める |
| 検収の遅れをなくす | — |
| 支払サイトの短縮を交渉する | 相手しだい |
| 着手金を設定する | 原価と同じ月に現金が入る |
原価が出る月に一部でも入金があれば、谷はその分だけ浅くなります。分割の1回目を「契約時」にするだけでも効果があります。
テンプレートで「入金サイト」を0にすると、分割の1回目が受注と同じ月に入る計算になります。その場合の谷を確かめてください。
請求のタイミングは 請求書の発行タイミングを1日早める効果 の記事で扱っています。
着手金が、谷を浅くする最も確実な方法です。
| 回数 | 相手にとって | 自社にとって |
|---|---|---|
| 6回 | 1回が大きい | 回収が早い |
| 12回 | — | — |
| 24回 | 1回が小さい | 回収が遅い・貸倒れリスクが長い |
相手が求めているのは「1回の金額を下げること」です。決裁の区切りに収まる最少の回数にすれば、自社の回収は早くなります。
決裁の区切りに合わせる考え方は 高額商材が失注する理由は、価格ではなく支払い方 の記事で扱っています。
また、回数が長いほど貸倒れのリスクを負う期間も長くなります。24回なら2年間、相手の支払能力に依存します。
回数は決裁に収まる範囲で最短にしてください。
| 項目 | 初期値の例 |
|---|---|
| 受注の総額 | 1,680万円 |
| 24か月で入金された額 | 1,480万円 |
| 未回収の残高 | 200万円 |
この200万円は、まだ受け取っていない、相手の支払能力に依存している金額です。受注が増えるほど、この残高も増えます。
残高は取引先ごとに管理してください。1社に集中していると、その1社が払えなくなったときの影響が大きくなります。
債権の管理方法は 債権年齢表の作り方と、見るべき兆候 の記事で、テンプレートとあわせて扱っています。
未回収の残高=貸倒れリスクの総量です。
| 備え | 内容 |
|---|---|
| 与信を確認してから受注する | 決算書・信用情報 |
| 期限の利益喪失条項を入れる | 1回滞納したら残額を一括請求できる |
| 所有権留保・利用停止の条項 | 払われない場合に止められるか |
| 連帯保証 | — |
| 取引信用保険 | 件数が多い場合 |
| 1社あたりの上限を決める | 集中を避ける |
これがないと、滞納が続いても各回の期日ごとにしか請求できません。残額を一括で請求できる条項を、契約書に入れてください。
与信管理の方法は 与信管理を最小の手間で回す の記事で扱っています。
期限の利益喪失条項を、契約書に必ず入れてください。
| 順 | 手段 | 費用 |
|---|---|---|
| 1 | 着手金を設定する | なし |
| 2 | 分割回数を短くする | なし |
| 3 | 原価の支払いを後ろにする | なし(制約あり) |
| 4 | 請求を早く出す | なし |
| 5 | 当座貸越の枠を作る | 使った分だけ |
| 6 | 短期の運転資金融資 | 金利 |
| 7 | 受注のペースを落とす | 機会損失 |
受注が増えるほど谷は深くなります。伸ばす計画があるなら、その前に枠を用意してください。足りなくなってからでは間に合いません。
枠の種類は コミットメントラインと当座貸越枠の使い分け の記事で扱っています。
枠は受注を伸ばす前に作ってください。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| その案件を受けたら、谷はどうなるか | テンプレートに追加して試算 |
| 谷の金額を用意できるか | 手元資金+枠 |
| 相手の与信は足りるか | — |
| 同じ月に原価が重ならないか | 着手時期をずらせないか |
| 粗利率は基準を満たすか | — |
粗利が出る案件でも、原価の支払いを越えられなければ受けられません。受注の判断に、資金繰りの確認を入れてください。
4番目は実務的です。大型案件の着手を1か月ずらすだけで、原価の重なりを避けられることがあります。
受注の前に谷を計算してください。
この表が示しているのは現金の動きです。損益計算書の数字とは別物です。
| 項目 | 会計上(損益) | 現金 |
|---|---|---|
| 売上の計上 | 役務の提供時 | 入金時 |
| 原価の計上 | 売上に対応させる | 支払時 |
| 分割払いの影響 | 原則として影響しない | 大きく影響する |
| 未回収の残高 | 売掛金として資産 | まだ現金ではない |
分割にしても売上と粗利は変わりません。変わるのは現金が入る時期だけです。だから損益計算書を見ているだけでは、この谷は見えません。
具体的な収益の認識時期は、契約の内容と役務の提供時期で決まります。分割払いにしても、売上の計上が分割されるとは限りません。税理士に確認してください。
また、売上が先に立つと、現金が入る前に税金がかかります。納税の時期も資金繰り表に入れてください。
損益では見えません。現金の表を別に持ってください。
| 状況 | 失うもの |
|---|---|
| 一括で受け取っていた | ない(受領済み) |
| 12回のうち3回受け取った | 残り9回分 |
| 24回のうち3回受け取った | 残り21回分 |
分割で受注した場合、原価は最初に全額出ています。途中で払われなくなれば、原価の分がそのまま損失になります。
例のE社の案件(360万円・24回)なら、原価216万円をすでに払っています。3回(45万円)受け取った時点で倒産すれば、171万円の損失です。
だから分割の期間が長いほど、与信の確認を厳しくする必要があります。24回の契約は、2年間その会社の信用に依存するということです。
分割の期間が長いほど、与信の確認を厳しく。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 「1 前提」に粗利率・原価の時期・入金サイト・固定費・期首現金を入れる |
| 2 | 「2 案件一覧」に受注済みの案件だけを入れる |
| 3 | 「3 月次の入出金」で累積の谷を確認する |
| 4 | 分割回数をすべて1にして、一括の場合の谷を控える |
| 5 | 元に戻し、差額を「4 一括と分割の比較」に書き入れる |
| 6 | これから取る予定の案件を追加して、谷を再計算する |
| 7 | 谷の金額を用意できるか確認する |
| 8 | 毎月、実績を入れて更新する |
今の受注だけなら足りていても、受注計画を達成したときに資金が持つかは別の話です。伸ばす前に確認してください。
これから取る案件を入れて、谷を再計算してください。
9番と15番。この2つが、成長と回収を守ります。
相手の支払条件を変えずに入金を早める方法は 相手の支払い条件に合わせても、入金を早める方法 の記事で扱っています。
この記事は仕入れ資金による調達の一部です。手段そのものを比べたい場合は、あわせてご覧ください。