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融資による調達

銀行面談で聞かれることと、答え方の準備

面談は審査ではなく、担当者が稟議書に書く材料を集める場です。必ず聞かれる10の質問、数字・理由・対策で答える型、言ってはいけないこと、こちらから聞くべきことを整理します。

公開:2026年9月14日 Creww Finance Media 編集部
この記事の内容

  1. 面談は、審査そのものではない
  2. 誰が来て、何を持ち帰るのか
  3. 必ず聞かれる10の質問
  4. 答え方の型|数字・理由・対策
  5. 数字で見る|答えられる会社と答えられない会社
  6. いちばん答えにくい質問
  7. 他行のことを聞かれたら
  8. 不利な事実を、どう伝えるか
  9. 言ってはいけないこと
  10. こちらから聞くべきこと
  11. 資料の渡し方
  12. 創業期の面談で見られること
  13. 赤字が続く会社の面談
  14. 面談が終わったあと
  15. チェックリスト
  16. よくある質問

面談は、審査そのものではない

銀行の担当者との面談は、その場で可否が決まる場ではありません。担当者が、稟議書に書く材料を集める場です。

この前提を理解すると、準備の方向が定まります。説得しようとするのではなく、書ける材料を渡す。これが面談での目的です。

面談で決まるのは「案件として上がるか」

可否は稟議の過程で決まります。面談で決まるのは、担当者が案件として上に持っていけるかどうかです。材料が足りなければ、そもそも上がりません。

稟議の仕組みは 融資の稟議はどこで止まるか の記事で扱っています。

この章の要点

面談は材料を渡す場。説得の場ではありません。

誰が来て、何を持ち帰るのか

来る人 役割 持ち帰るもの
担当者(渉外) 窓口。稟議書を書く 事業の内容、業況、資金使途、返済原資
担当者+役席 金額が大きい、または初回 同上+社内での説明材料
支店長 重要な先、大型案件 経営者の人物、事業の方向性
保証協会の担当者 保証の審査 事業の実在性、資金使途、返済の見込み

相手によって、聞かれることの重心が変わります。担当者は稟議に書く具体的な数字、支店長は事業の方向性と経営者の考え方を見ています。

保証協会の面談が入る場合は、事業が実在することの確認が中心になります。事業所の様子、取引の実態、帳簿の整合などが見られます。

この章の要点

担当者には数字、支店長には方向性。相手で重心が変わります。

必ず聞かれる10の質問

— 質問 用意しておくもの
1 いくら、何に使いますか 使途の内訳表(項目と金額)
2 なぜその金額ですか 資金繰り表(不足する月と金額)
3 何から返しますか 簡易キャッシュフローと返済額の比較
4 直近の業況はどうですか 月次試算表。前年同月比
5 売上総利益率が変わっていますが、なぜですか 原因の分解(単価か数量か、原価か)
6 今後の見通しは 受注残、契約状況
7 他行との取引はどうなっていますか 借入一覧(残高・金利・期日)
8 主な取引先は 売掛金の内訳。集中度
9 この売掛金は回収できていますか 売掛金年齢表
10 代表者への貸付金は何ですか 精算しておく。あるなら返済計画
1〜3に答えられないと、そこで止まる

この3つは稟議書の中心的な欄に対応しています。ここが埋まらないと、案件が上がりません。面談の準備は、この3つから始めてください。

この章の要点

10問のうち、1〜3が最優先。稟議書の中心の欄に対応しています。

答え方の型|数字・理由・対策

答え方には型があります。数字 → 理由 → 対策の順で組み立ててください。

質問 弱い答え 強い答え
直近の業況は 「おかげさまで順調です」 「売上は前年同月比112%、粗利率は前年38%に対して35%です。原価の上昇分で、来月から価格に転嫁します」
なぜ赤字ですか 「受注が減りまして」 「主力のA商品が、大口のB社向けで月200万円落ちました。代替としてC社の案件が来月から月150万円入ります」
何から返しますか 「利益で返します」 「簡易キャッシュフローが年900万円、返済額が年700万円です。200万円の余裕があります」

違いは数字で分解されているかです。「順調です」という言葉は稟議書に書けませんが、「前年同月比112%、粗利率35%」は書けます。

そして、対策まで言うことが重要です。悪い数字であっても、原因を把握して手を打っていることが示せれば、評価は変わります。

この章の要点

数字 → 理由 → 対策。言葉ではなく、そのまま書ける形で答えてください。

数字で見る|答えられる会社と答えられない会社

同じ決算内容の2社が、同じ質問を受けた場合を並べます。

質問 A社の答え B社の答え
いくら必要ですか 「3,000万円くらい」 「2,850万円です」
なぜその金額ですか 「余裕を見て」 「9月の残高が最低で、手元に月商1か月分を残すと2,850万円足りません」
何に使いますか 「運転資金です」 「増加運転資金1,250万円、季節仕入れ1,600万円です」
何から返しますか 「利益から」 「増えた売上の回収から。季節分は11月〜1月の入金で」
その後に起きること A社 B社
追加の質問 何度も往復する ほとんど出ない
稟議書の作成 担当者が組み立て直す そのまま書ける
実行までの日数 長い 短い
金額 削られやすい 根拠があるため削りにくい

最後の行が重要です。「3,000万円くらい」は削れますが、「2,850万円」には削る理由がありません。根拠のある端数は、それ自体が積み上げた証拠になります。

この章の要点

端数のある金額は積み上げた証拠。「くらい」は削られます。

いちばん答えにくい質問

準備していないと詰まるのが、次の3つです。

質問 なぜ答えにくいか 準備
「この借入がなかったら、どうしますか」 必要性の本気度を測られている 代替手段を検討したことを示す
「計画どおりにいかなかったら」 楽観だけの計画か確認されている 下振れした場合の対応を用意する
「社長に何かあったら」 事業の継続性を見られている 体制、権限、引き継ぎの状況

1番目は、「借りられないと倒産します」と答えてはいけません。それは返済能力への疑問に直結します。「支払いを◯月にずらし、設備投資を延期して対応しますが、機会を逃します」のように、代替策があったうえで借りる、という形にしてください。

2番目は、下振れのシナリオを1つ用意しておくことで対応できます。「売上が計画の85%なら、固定費をこう抑えて、返済は維持できます」と言えれば十分です。

3番目は、とくに小規模な会社で聞かれます。経営者1人に業務が集中している状態は、事業の継続性への懸念になります。取引先との関係が個人に依存していないか、権限を持つ人が他にいるか、といった点です。

この章の要点

「借りられないと倒産する」は言ってはいけない答え。代替策とセットで話してください。

他行のことを聞かれたら

必ず聞かれます。隠しても、決算書の借入金内訳から分かります。

聞かれること 答え方
どこから、いくら借りていますか 一覧を渡す(残高・金利・期日・保証の有無)
他行にも申し込んでいますか 正直に。金額を分けているなら、その配分も
メインはどこですか 明確に答える
他行の金利は 正確に伝える。偽らない
なぜ当行に来たのですか 理由を用意しておく
条件を偽らない

金融機関どうしで条件が分かる場面があります。後で判明すれば、それまでの説明すべての信頼が落ちます。交渉材料として使うのは正当ですが、事実を変えてはいけません。

5番目の「なぜ当行に」は、新規の金融機関で必ず聞かれます。「メインだけでは足りないため」「取引先を増やしたい」といった、率直な理由で問題ありません。曖昧にすると、他行で断られたのではないかと読まれます。

配分の考え方は 複数行から借りるときの順番と配分 の記事で扱っています。

この章の要点

他行のことは正直に。偽ると、すべての説明の信頼が落ちます。

不利な事実を、どう伝えるか

赤字、延滞、取引先の倒産、大口の失注——不利な事実があるとき、こちらから先に伝えてください。

伝え方 結果
聞かれるまで言わない 後で判明すると、隠していたと読まれる
事実だけ伝える 不安材料として記録される
事実+原因+対策+現状を伝える 把握できている会社と評価される

順序も重要です。面談の早い段階で伝えてください。稟議が進んだ後に新しい事実が出ると、手続きをやり直すことになります。担当者にとって最も避けたい事態です。

「実は」で始めない

「実はお話ししていないことが」という切り出し方は、隠していた印象を強めます。資料を渡す流れの中で、事実として淡々と説明するほうが伝わります。

とくに延滞の履歴は必ず伝えてください。記録として残っており、必ず把握されます。事前に説明があるかどうかで、扱いが変わります。区分への影響は 債務者区分 の記事で扱っています。

この章の要点

不利な事実は早い段階で、対策とセットで。後出しは最も不利です。

言ってはいけないこと

言ってはいけないこと なぜ
「借りられないと倒産します」 返済能力への疑問に直結する
「他行は貸してくれると言っています」(事実でない) 確認されれば分かる
「税理士に任せているので分かりません」 経営者が数字を把握していないと読まれる
「とりあえず借りられるだけ」 使途がないことを示している
「返済は次の融資で」 返済原資がないと言っているに等しい
数字の言い間違い 資料と食い違うと、説明全体の信頼が落ちる

3番目は、意外に多く出てしまいます。数字を聞かれて即答できないこと自体は問題ありませんが、「分かりません」で終わらせないでください。「確認して、本日中にお送りします」と答えれば済みます。

6番目も注意が要ります。記憶で答えず、資料を見ながら答えてください。後で資料と食い違うと、その1点だけでなく説明全体が疑われます。

この章の要点

数字は資料を見ながら答える。即答より、正確さが優先です。

こちらから聞くべきこと

面談は一方的に聞かれる場ではありません。こちらから聞くことで、その後の進め方が変わります。

聞くこと 分かること
「稟議で必要な資料は何ですか」 足りない材料。往復が減る
「いつ頃、可否のご連絡をいただけますか」 案件が動いているか
「この金額は支店でご判断いただける規模でしょうか」 決裁の段階。日数の見込み
「当行の評価上、どこが弱く見えていますか」 改善すべき点
「経営者保証を外す条件は何ですか」 3要件のうち足りない点
「使える制度融資はありますか」 保証料・利子の補助

最初の2つは、毎回聞いてください。必要な資料を先に聞けば往復が減り、期日を確認すれば案件が動いているかが分かります。

4番目の聞き方は有効です。「なぜ貸してくれないのか」ではなく、「どこが弱く見えるか」という形にすると、多くの担当者は具体的に答えます。

この章の要点

毎回聞くべきは「必要な資料」と「可否の連絡時期」の2つです。

資料の渡し方

やること 理由
A4で1枚の要約を付ける 担当者が所見を書く下敷きになる
数字は表にする そのまま転記できる
まとめて渡す 小出しにすると往復が増える
データでも渡す 転記の手間が減る
全取引行に同じものを渡す 食い違いが生じない

持参する資料の標準は、次のとおりです。

資料 内容
決算書3期分+勘定科目内訳明細書+申告書 —
直近の月次試算表 締めから2〜3週間以内のもの
資金繰り表 実績3か月+予定6か月
資金使途の内訳表 項目・金額・根拠・返済原資・希望期間
借入一覧 金融機関・残高・金利・期日・保証の有無
受注残・契約状況 今後の売上の裏づけ
会社案内・事業の説明資料 担当者が交代しても残る

太字の3つが、こちらが用意しなければ存在しない資料です。決算書は税理士から出ますが、この3つは意識して作る必要があります。

この章の要点

試算表・資金繰り表・使途の内訳表。この3つが準備の中身です。

創業期の面談で見られること

決算書がない段階では、見られるものが違います。

見られる点 準備
経歴と事業の一致 なぜこの事業をやるのか、経験との結びつき
自己資金 いくらを、どう貯めたか。通帳で説明できるか
売上の根拠 単価×数量。すでに見込み客がいるか
費用の見積もり 実際の見積書、賃貸借契約など
返済の開始時期 いつから返済に回せる現金が生まれるか
生活費 役員報酬でまかなえるか

最後の項目は見落とされやすい点です。役員報酬が生活費に足りないと、会社から借りることになります。これは後の決算で役員貸付金として残り、評価を下げます。

自己資金の見られ方は 創業融資の自己資金要件 の記事で扱っています。

この章の要点

創業期は経歴・自己資金・返済の開始時期。生活費の説明も用意してください。

赤字が続く会社の面談

計画的に赤字を出しているスタートアップでは、説明の組み立てが変わります。

論点 説明の仕方
なぜ赤字か 計画どおりであることを示す。投資の内容と、回収の時期
返済原資 利益ではなく、手元資金と確定した入金で示す
純資産 調達により資本が厚く、債務超過でないことを示す
手元資金 ランウェイを月数で示す
次の調達 既存投資家の意向、これまでの調達実績
黒字化の時期 月単位で示す。過去の計画の達成度も見られる

鍵は「計画どおりの赤字」であることを示せるかです。前に出した計画と実績が一致していれば、赤字であっても計画の信頼性が示せます。逆に、毎回計画を下回っていれば、次の計画も割り引かれます。

返済原資の示し方は 返済原資の説明 の記事で扱っています。

この章の要点

赤字でも計画どおりであることを示せるかが分かれ目です。

面談が終わったあと

順 やること 時期
1 その場で答えられなかった点を、資料にして送る 当日〜翌営業日
2 依頼された追加資料を送る 速やかに
3 聞かれた内容を記録しておく 当日
4 確認した期日を控えておく 当日
5 期日を過ぎたら、進捗を確認する 期日後

1番の速さが効きます。その日のうちに追加資料が届くと、担当者はそのまま稟議に取りかかれます。1週間かかると、案件が止まります。

3番も意味があります。聞かれた内容は、次回も聞かれます。記録しておけば、次の面談の準備がそのまま整います。担当者が交代しても、同じ質問が来ます。

この章の要点

追加資料は当日〜翌営業日に。聞かれた内容は記録してください。

チェックリスト

銀行面談の前に

  • 資金使途の内訳表(項目・金額・根拠・返済原資・希望期間)を作った
  • 必要額を、資金繰り表から積み上げて確定させた(「くらい」にしない)
  • 簡易キャッシュフローと年間返済額を比較した
  • 直近の月次試算表を用意した
  • 売上総利益率の前年比の変化と、その理由を数字で説明できる
  • 受注残・契約状況の資料を用意した
  • 借入一覧(残高・金利・期日・保証)を作った
  • 売掛金の内訳と、取引先の集中度を把握している
  • 代表者への貸付金を精算した(あるなら返済計画を用意)
  • 不利な事実を、対策とセットで伝える準備をした
  • 「この借入がなかったら」への答えを用意した
  • 計画が下振れした場合の対応を1つ用意した
  • A4で1枚の要約を作った
  • 「必要な資料は何か」「いつ頃回答か」を聞く準備をした
  • 資料は全取引行に同じものを渡す
この章の要点

1〜3番が稟議書の中心の欄に対応します。ここから準備してください。

よくある質問

Q. 面談でその場で可否が決まりますか
決まりません。担当者が稟議書を書く材料を集める場です。面談で決まるのは、案件として上に持っていけるかどうかです。
Q. どんな服装で、どこで行うのがよいですか
形式より中身です。ただし事業所に来てもらうと、事業の実在性や整理の状況が伝わります。保証協会の面談では、事業所での実施が求められることもあります。
Q. 「借りられないと倒産します」と言ってはいけませんか
言わないでください。返済能力への疑問に直結します。「支払いを◯月にずらして対応しますが、機会を逃します」のように、代替策があったうえで借りる形にしてください。
Q. 数字を聞かれて即答できませんでした
「分かりません」で終わらせず、「確認して本日中にお送りします」と答えてください。記憶で答えて資料と食い違うほうが、はるかに不利です。
Q. 他行に申し込んでいることは、言うべきですか
正直に伝えてください。金額を分けているなら、その配分も説明します。隠しても借入金内訳や協会経由で分かります。
Q. 赤字であることを、どう説明すればよいですか
数字で分解してください。どの商品・どの取引先で、いくら落ちたのか。そして、それに対して何をしているのか。事実・原因・対策・現状の4点で話せると、評価が変わります。
Q. 希望額は、いくらと言えばよいですか
資金繰り表から積み上げた金額をそのまま言ってください。「3,000万円くらい」は削られますが、「2,850万円」には削る理由がありません。端数は積み上げた証拠になります。
Q. 「計画どおりにいかなかったら」と聞かれたら
下振れのシナリオを1つ用意しておいてください。「計画の85%なら、固定費をこう抑えて返済は維持できます」と答えられれば十分です。
Q. こちらから聞いてもよいのですか
聞いてください。「稟議で必要な資料は何ですか」「いつ頃、可否のご連絡をいただけますか」の2つは毎回聞くべきです。往復が減り、案件が動いているかも分かります。
Q. 追加資料は、いつまでに送ればよいですか
当日から翌営業日が目安です。その日のうちに届けば、担当者はそのまま稟議に取りかかれます。1週間かかると案件が止まります。
Q. 代表者への貸付金について聞かれたら
金額と理由、返済の計画を説明してください。ただし、面談の前に精算しておくのが最善です。法人と個人の区分ができていないと読まれ、経営者保証の議論にも影響します。
Q. 担当者が交代したら、また同じ説明が必要ですか
必要です。前任から聞いていると思っても、伝わっていないことが多くあります。一通り説明し直してください。書面で渡していれば、引き継ぎ資料として残ります。
出典