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仕入れ資金による調達1,000万円を60日早める費用は、0円から80万円まで分かれます。相手の条件を変えずにできる8つの方法を、費用の安い順に整理します。

「月末締め翌々月末払い」という条件を動かせない取引先は多くあります。しかし入金を早める方法は、条件交渉だけではありません。
請求書の発行が締め日から1週間遅れていれば、その分だけ入金も遅れています。これは相手の条件とは関係のない、自社側の問題です。
入金を早める方法は、条件交渉だけではありません。
月商1,000万円の場合です。
| 支払サイト | 売掛金の残高 | 意味 |
|---|---|---|
| 30日 | 1,000万円 | 1か月分が寝ている |
| 60日 | 2,000万円 | 2か月分 |
| 90日 | 3,000万円 | 3か月分 |
| 120日 | 4,000万円 | 4か月分 |
入金を1か月早められれば、月商1か月分の現金が手元に戻ります。月商1,000万円なら1,000万円です。
この規模の金額が、条件交渉なしで動く可能性がある——というのがこの記事の趣旨です。
1か月縮めると、月商1か月分が戻ります。
| 確認すること | ありがちな状態 |
|---|---|
| 締め日から請求書発行までの日数 | 5〜10日かかっている |
| 請求の締め切り(相手側) | ◯日までに届かないと翌月回し |
| 郵送か電子か | 郵送だと数日かかる |
| 社内の承認フロー | 上長の承認待ち |
| 請求書の作成担当 | 1人に集中している |
2番目が決定的です。「毎月5日までに到着した請求書を当月処理」という運用の会社に、10日に届けば、支払いは丸1か月後ろになります。
これは相手の支払条件の問題ではなく、自社の請求業務の問題です。取引先ごとに請求書の締め切りを確認し、そこから逆算して発行してください。
詳しくは 請求書の発行タイミングを1日早める効果 の記事で扱っています。
相手の請求書の締め切りを、取引先ごとに確認してください。
| 状況 | 影響 |
|---|---|
| 納品が月初になった | その月の締めに入る(良い) |
| 納品が月末ぎりぎり | 検収が翌月にずれると1か月遅れる |
| 作業が月をまたぐ | 完了まで請求できない |
| 月初に納品を集中させる | 締めに確実に入る |
月末ぎりぎりの納品は、検収が翌月にずれるリスクがあります。そうなれば入金は丸1か月遅れます。月初に納品するほうが確実です。
作業が月をまたぐ場合は、月末までに終わった分を分割請求できないかを検討してください。次の方法⑤で扱います。
月末ぎりぎりの納品は、1か月遅れるリスクがあります。
| やること | 効果 |
|---|---|
| 検収の条件を契約時に決める | 何をもって完了とするか |
| 検収の期限を定める | 「納品後◯日以内に検査」 |
| みなし検収の条項を入れる | 期限内に連絡がなければ検収完了とみなす |
| 検収担当者を確認する | 不在時の代行も |
| 納品時に検収書を渡す | 相手の手間を減らす |
「納品後10日以内に書面で異議がなければ検収完了とみなす」という定めがあれば、相手の社内が動かなくても請求できます。
ただし、この条項は相手にとって不利なので、契約時でないと入れられません。新規の契約から順に入れてください。
みなし検収の条項を、新規の契約から入れてください。
| 形 | いつ受け取るか |
|---|---|
| 着手金 | 契約時・作業開始時 |
| 中間金 | 工程の途中 |
| マイルストーン払い | 合意した節目ごと |
| 月次の出来高払い | 毎月の進捗分 |
「月末締め翌々月末払い」という条件はそのままでも、請求の起点が早くなれば、入金も早くなります。条件交渉ではありません。
着手金は、外注費や仕入れの支払いと同じ月に現金が入るという点でも効きます。分割で受注したときの資金の谷は 後払いで受注したとき、自社の入金はいつになるか の記事で扱っています。
条件は変えず、請求の起点を早くしてください。
| 分け方 | 向いている仕事 |
|---|---|
| 工程ごと | 設計・実装・テスト |
| 月次の出来高 | 長期のプロジェクト |
| 納品を分ける | 複数拠点・複数部署 |
| 数量を分ける | 物販 |
完了まで請求できない契約なら、6か月後に請求し、そこから2か月後に入金です。月次の出来高払いにできれば、2か月目から入金が始まります。
出来高払いにする場合は、進捗の測り方を契約時に決めてください。「何%終わったか」で揉めると、請求そのものが止まります。
長期の案件は月次の出来高で請求してください。
| 確認すること | ありうること |
|---|---|
| 支払日が月に複数あるか | 10日・25日・月末など |
| 締め日が複数あるか | 15日締めと月末締め |
| 早期支払いの制度があるか | 割引と引き換えに |
| 臨時の支払いに応じるか | — |
15日締めと月末締めの両方がある会社なら、15日までに請求すれば、月末締めより半月早く支払われます。聞かないと分かりません。
これは支払条件の変更ではなく、相手がすでに用意している選択肢を使うだけです。交渉の負担がありません。
相手がすでに用意している選択肢を確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 売掛金を担保に金融機関から借りる |
| 費用 | 金利(比較的低い) |
| 相手への影響 | 通知・承諾が必要な場合がある |
| 前提 | 金融機関の与信 |
| 時間 | 審査に時間がかかる |
金利ベースなので費用は低く抑えられますが、枠を作るまでに時間がかかります。資金が必要になってからでは間に合いません。
売掛金を使った調達の全体像は 「債権による調達」とは何を指すか の記事で扱っています。
費用は安いが、枠は先に作る必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仕組み | 売掛金を譲渡して現金化する |
| 費用 | 手数料(年率換算では高い) |
| 速さ | 速い |
| 審査 | 売掛先の信用が中心 |
| 相手への影響 | 2社間なら通知しない形もある |
審査が速く、自社の財務状況に左右されにくい一方、年率に換算すると融資よりはるかに割高になります。常用する手段ではありません。
費用の判断方法は 今の手数料が高いかどうかを判断する材料 の記事で扱っています。
速いが割高。常用する手段ではありません。
1,000万円の入金を60日早める場合の費用です。
| 手段 | 費用 | 年率 |
|---|---|---|
| 請求を早く出す | 0円 | — |
| 着手金・分割請求 | 0円 | — |
| 売掛金担保の融資(年3%) | 約49,300円 | 3.0% |
| 当座貸越(年3%) | 約49,300円 | 3.0% |
| 売掛金の売却(手数料5%) | 500,000円 | 30.4% |
| 売掛金の売却(手数料8%) | 800,000円 | 48.7% |
同じ「1,000万円を60日早める」でも、費用は0円から80万円まで分かれます。費用のかからない手段を先に使い切ってください。
同じ効果で、費用は0円から80万円まで分かれます。
| 順 | やること | 費用 |
|---|---|---|
| 1 | 請求を締め日の翌日に出す | 0円 |
| 2 | 相手の請求書の締め切りを確認する | 0円 |
| 3 | 検収の遅れをなくす | 0円 |
| 4 | 支払日・締め日の選択肢を確認する | 0円 |
| 5 | 着手金・分割請求を導入する | 0円 |
| 6 | 当座貸越の枠を作る | 使った分だけ |
| 7 | 売掛金を担保にした融資 | 金利 |
| 8 | 売掛金の売却 | 高い |
多くの会社は、この順序を飛ばして8から始めています。1〜5には費用がかからず、しかも一度変えれば効果が続きます。
1〜5をやり切ってから、費用のかかる手段へ。
| 方法 | 相手の負担 |
|---|---|
| 請求を早く出す | なし |
| 締め日をまたがせない | なし |
| みなし検収の条項 | 契約時の合意が要る |
| 着手金・分割請求 | 契約時の合意が要る |
| 支払日の選択肢を使う | なし(既存の制度) |
| 担保融資・売却 | 通知・承諾が要る場合がある |
| 支払サイトの短縮 | 相手の資金繰りを圧迫する |
支払サイトの短縮を求めれば、相手の資金繰りに自社の都合を押し付けることになります。そうせずにできることが、これだけあります。
取引の関係を保ちながら入金を早めたいなら、まず相手に影響のない手段から始めてください。
相手に影響のない手段から始めてください。
| 交渉の材料 | 内容 |
|---|---|
| 取引量の増加 | 「量を増やすので条件を」 |
| 価格との交換 | 早期支払いなら割引 |
| 継続契約の約束 | — |
| 相手にとっての利点 | 在庫を持つ・優先納品など |
| 全社ではなく1社から | 実績を作ってから広げる |
「30日早く払ってもらえれば1%引く」という条件は、年率に直すと約12.2%です。融資で借りるほうが安いことがあります。計算してから提示してください。
割引を年率に直す方法は 前受金と売掛金では、資金繰り上の意味が違う の記事で扱っています。
早期支払いの割引も、年率で検証してください。
「うちの入金は平均何日か」を答えられる会社は多くありません。まず実績を測ってください。
| 記録する項目 | 何が分かるか |
|---|---|
| 締め日 | 起点 |
| 請求書の発行日 | 自社の遅れ |
| 相手への到着日 | 締め切りに間に合ったか |
| 実際の入金日 | — |
| 契約上の支払日 | ズレの有無 |
| 差(実績 − 契約) | どこで遅れているか |
契約では翌々月末でも、実績が平均75日後なら15日分のズレがあります。その多くは、請求書の発行の遅れです。相手が遅延しているとは限りません。
3か月分を測れば傾向が分かります。とくに遅い取引先を1社特定して、そこから手をつけてください。全社を一度に変える必要はありません。
入金の記録と消込は 入金消込を自動化すると何が見えるようになるか の記事で扱っています。
ズレの原因は多くが自社側の請求の遅れです。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 売掛金残高の大きい順に並べる | 効果の大きい先から |
| 上位1〜2社に絞って手をつける | 全社を一度に変えない |
| その先の請求業務を最優先にする | — |
| 効果を測る | 入金日が何日早まったか |
| 他の取引先に広げる | 手順が確立してから |
取引先が30社あっても、売掛金残高の半分以上を上位3社が占めているということがよくあります。そこだけを変えれば、効果の大半が取れます。
1社に集中している場合のリスクは 大口1社に依存した売掛金をどう扱うか の記事で扱っています。
残高の大きい上位1〜2社から手をつけてください。
| 工程 | 紙・郵送 | 電子 |
|---|---|---|
| 請求書の作成 | — | — |
| 社内の承認 | 回付に数日 | 即日 |
| 相手への送付 | 2〜3日 | 即日 |
| 相手の受領処理 | 開封・仕分け | 早い |
| 再発行・訂正 | 数日 | 即日 |
1日の差でも、相手の請求書の締め切りをまたぐかどうかが変われば、入金は1か月動きます。締め切りぎりぎりの取引先ほど、電子化の効果は大きくなります。
ただし、相手が電子の請求書を受け付けるかを先に確認してください。紙でないと処理しない運用の会社もあります。取引先ごとに確認が必要です。
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も必要になります。要件は制度改正で変わるため、国税庁の資料で最新の内容を確認してください。
電子化で3〜5日縮み、締め切りをまたげば1か月動きます。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 締め日から請求書発行までの実績日数を測る |
| 2 | 取引先ごとに、請求書の締め切りを確認する |
| 3 | 実際の入金日を記録し、平均サイトを出す |
| 4 | 契約書と実績のズレを確認する |
| 5 | 検収の遅れがある取引先を特定する |
| 6 | 支払日・締め日の選択肢を聞く |
| 7 | 新規の契約から、着手金と分割請求を入れる |
| 8 | 残る不足分だけ、枠や調達で埋める |
契約では「翌々月末」でも、実際の入金が平均で75日後なら、15日分のズレがあります。その原因は自社側にあることが多くあります。
契約書ではなく実績の入金日を測ってください。
1番・2番・14番。この3つは今日から確認できます。
この記事は仕入れ資金による調達の一部です。手段そのものを比べたい場合は、あわせてご覧ください。