ホーム / 資金化コストの見直し / 記事

資金化コストの見直し

2社間と3社間で、手数料はどれだけ違うか

2社間と3社間の手数料差は、誰が売掛金を回収するかという構造の差。掲載107社の対応状況を集計し、差額を年率と年額で示したうえで、売掛先の承諾を取る切り出し方まで。

公開:2026年9月15日 最終更新:2026年10月16日 Creww Finance Media 編集部
この記事の内容

  1. 差を生んでいるのは「誰が回収するか」
  2. 実データ|107社の対応状況
  3. 事業者が2社間で見ているリスク4つ
  4. 数字で見る|同じ債権を2つの形で資金化する
  5. 年率に直すと、差はさらに開く
  6. 3社間にすると、何が起きるか
  7. 売掛先が承諾しない理由と、その読み方
  8. 切り出し方|誰に、いつ、何を根拠に言うか
  9. 3社間にしても下がらない場合
  10. 2社間のまま下げる余地
  11. 債権譲渡登記の扱いが変わる
  12. 売掛先の性質で、承諾の通りやすさは変わる
  13. 金額をまとめると、選べる事業者が変わる
  14. 形態の変更と、事業者の乗り換えは順番が違う
  15. 入金の流れが変わると、資金繰り表も変わる
  16. 継続的に使うなら、どちらを軸にするか
  17. 判断の順番
  18. チェックリスト
  19. よくある質問

差を生んでいるのは「誰が回収するか」

2社間と3社間の手数料差は、サービスの質の差ではありません。売掛金を最終的に誰が回収するか、という構造の違いがそのまま価格に出ています。

2社間自社と事業者の2者で契約する。売掛先には知らせない。入金は売掛先→自社→事業者の順に流れる。
3社間自社・事業者・売掛先の3者が関与する。売掛先の承諾を得て、売掛先から事業者へ直接入金される。
債権譲渡の対抗要件譲渡を第三者に主張するための条件。売掛先への通知か承諾、または債権譲渡登記による。
2社間では、お金が一度こちらの口座を通る

事業者から見ると、買い取った債権の代金がいったん自社の口座に入り、そこから送金されるのを待つことになります。その間に別の支払いに回されるリスク、倒産するリスクを負います。この構造の差が手数料の差です。

この章の要点

2社間の手数料が高いのは事業者が余分なリスクを負っているためです。そのリスクを減らせば、価格も動きます。

実データ|107社の対応状況

当メディアが掲載している107社について、対応している契約形態を集計しました。

項目 社数 構成比
2社間に対応 107 100%
3社間に対応 106 99.1%
法人の利用可 107 100%
個人事業主の利用可 92 86.0%
オンライン完結に対応 107 100%
ほぼ全社が、両方に対応している

2社間しか扱わない事業者、3社間しか扱わない事業者は、実質的にほとんどありません。つまり「この会社は2社間しかできないから高い」という説明は成り立ちません。2社間になっているのは、自社が売掛先への通知を避ける選択をしているからです。

ここが重要です。契約形態は事業者側の制約ではなく、自社側で選んでいる変数です。手数料を動かしたいとき、最初に検討すべきはここになります。

事業者が2社間で見ているリスク4つ

2社間で上乗せされている分が、何に対する対価なのかを分解します。ここを理解しておくと、交渉で何を差し出せばよいかが分かります。

1資金の流用リスク|入金された資金が、事業者への送金前に別の支払いに使われる。
2債権の実在性リスク|売掛先に確認できないため、請求書が実際の取引に基づくものか確かめにくい。
3二重譲渡リスク|同じ債権が別の事業者にも売られている可能性を、売掛先への確認で潰せない。
4回収コスト|入金が滞ったとき、事業者は売掛先ではなく自社に対して動くことになる。
この章の要点

4つとも「売掛先に確認できない」ことから生じています。3社間にするとこの4つが同時に小さくなるため、価格が大きく動きます。

数字で見る|同じ債権を2つの形で資金化する

売掛金800万円、支払期日まで50日。同じ債権を、2社間と3社間それぞれで資金化した場合を比べます。

2社間 3社間 差
手数料率 10.0% 3.0% 7.0ポイント
手数料額 800,000円 240,000円 560,000円
手取り額 7,200,000円 7,760,000円 560,000円
入金までの日数 当日〜翌営業日 数日〜1週間 —
売掛先への通知 なし あり —

差額56万円は、「売掛先に知らせない」ことに対して払っている金額です。この金額を見てから、通知を避ける理由がそれに見合うかどうかを考えます。

年12回使うと、差は672万円になる

毎月同じ規模で資金化しているなら、年間で672万円の差です。1回ごとの56万円では動かなくても、年額で見ると判断が変わることがあります。

年率に直すと、差はさらに開く

3社間は入金までに日数がかかるため、率だけでなく早期化できる日数も変わります。年率に直すと次のようになります。

2社間 3社間
手数料率 10.0% 3.0%
実際に早めた日数 49日 44日
実質年率 74.5% 24.9%

3社間は入金が数日遅れる分、早期化日数が短くなります。それでも年率では約3分の1です。日数のハンデを考慮してもなお、3社間のほうが安いという構造は変わりません。

この章の要点

「3社間は入金が遅いから結局同じ」という話にはなりません。数日の遅れより、率の差のほうがはるかに大きいからです。

3社間にすると、何が起きるか

切り替えを検討するとき、手数料以外に何が変わるのかを先に把握しておきます。

項目 2社間 3社間
売掛先に知られるか 知られない 知られる
売掛先の手続き なし 承諾書への記名・押印
入金までの日数 短い 承諾を待つ分だけ長い
自社の送金作業 必要 不要(事業者へ直接入金)
債権譲渡登記 求められることが多い 省略されることがある
入金の取り違えリスク ある 小さい
自社の事務は、3社間のほうが軽い

2社間では、入金を受けて事業者へ送金する作業が毎回発生します。送金を忘れる、金額を間違えるといった事故も起こり得ます。3社間では売掛先から事業者へ直接入金されるため、この工程がなくなります。

売掛先が承諾しない理由と、その読み方

3社間を避ける最大の理由は「売掛先に知られたくない」ですが、実際に承諾しない売掛先がどれくらいいるかは、聞いてみないと分かりません。断られる場合の理由は、だいたい次に分類できます。

1社内規程で債権譲渡を認めていない|取引基本契約に譲渡制限特約がある場合。契約書を先に確認する。
2経理の事務が増える|振込先の変更処理が発生する。金額が大きいほど、この理由は通りにくくなる。
3資金繰りを疑われる|最も懸念されやすい点。ただし後述のとおり、伝え方で受け取られ方が変わる。
4前例がない|判断する人がいないだけで、拒否ではないことがある。
譲渡制限特約があっても、譲渡そのものは無効にならない

2020年施行の改正民法により、譲渡制限特約が付いていても債権譲渡は有効とされています。ただし売掛先は特約を理由に支払いを拒める場合があるため、実務上は承諾を得るのが前提になります。契約書の条文を確認したうえで、事業者と相談してください。

切り出し方|誰に、いつ、何を根拠に言うか

「資金繰りが苦しいので」と切り出すと、相手は与信の話として受け取ります。伝える内容を変えるだけで、受け取られ方は変わります。

伝え方の組み立て

  • 誰に|購買・調達の担当者ではなく、経理・財務の窓口へ。振込先変更の実務は経理が扱う
  • いつ|期末や月末の繁忙期を外す。契約更新や取引拡大の話と同じ時期に出す
  • 何を根拠に|「受注を増やすために運転資金の回し方を変えている」という事業側の文脈で出す
  • 何を求めるか|承諾書1枚への記名・押印であることを明示し、相手の手間を具体的に示す
  • 断られたら|理由を聞く。社内規程なのか、担当者の判断なのかで、次の打ち手が変わる
この章の要点

承諾を得られるかどうかは、売掛先の規程と、こちらの伝え方の両方で決まります。聞かずに2社間を続けているなら、判断材料がない状態です。

3社間にしても下がらない場合

形態を変えても率が動かないことがあります。その場合、原因は形態以外にあります。

原因 確認すること
売掛先の信用力が低い 他の売掛先で見積もりを取り、率が変わるか見る
金額が小さい 複数の請求をまとめて出せるか確認する
支払期日までが短い 締め日の直後に出せないか、タイミングを変える
その事業者の水準そのもの 他社に同じ条件で見積もりを出す

2社間のまま下げる余地

売掛先への通知がどうしてもできない場合でも、2社間の中で条件を動かす余地はあります。

1継続利用の実績を材料にする。入金遅延がゼロであれば、流用リスクの評価が変わる。
2決算書や試算表を提出し、自社の状況を開示する。情報が増えるほどリスクは読みやすくなる。
3資金化する金額をまとめる。回数を減らし1回を大きくすると、固定費の比率が下がる。
4入金までの希望を緩める。当日中を翌営業日にするだけで条件が動くことがある。
5売掛先を分散させる。1社集中は、その1社の支払い停止がそのまま事故になる。

債権譲渡登記の扱いが変わる

2社間では、事業者が対抗要件を確保するために債権譲渡登記を求めることが多いのに対し、3社間では売掛先の承諾が対抗要件になるため、登記が省略されることがあります。

登記を省けるかどうかは、売掛先の承諾が取れるかで決まります。3社間で売掛先に承諾をお願いする手順と、3社間をやめたほうがよい場合を、依頼の文面の例とあわせて読めます。

登記は費用と時間、そして記録に残る

登記には司法書士報酬を含めた費用がかかり、手続きの時間も必要です。登記事項概要ファイルは誰でも取得できるため、金融機関が与信の過程で確認することがあります。3社間で登記を省略できるなら、この点も条件の一部として比べる価値があります。

判断の順番

1今の契約が2社間か3社間かを確認する(契約書の表題ではなく、入金の流れで判断する)。
22社間なら、3社間にした場合の率を今の事業者に聞く。差額を年額に直す。
3取引基本契約書に譲渡制限特約があるかを確認する。
4売掛先の経理窓口に、承諾の可否を打診する。断られたら理由を聞く。
5承諾が得られない場合は、2社間のまま条件を動かす5つの手に移る。

売掛先の性質で、承諾の通りやすさは変わる

3社間の可否は「売掛先が承諾するか」だけで決まります。相手の性質によって、通りやすさには明確な傾向があります。

売掛先 承諾の通りやすさ 理由
官公庁・自治体 規程次第で明確 手続きが定型化されている一方、認めていない場合は例外がない
上場企業 社内規程の確認に時間がかかる 法務・経理の複数部署が関与する
中堅企業 比較的通りやすい 判断できる人が近く、前例がなくても検討してもらえる
小規模事業者 相手の事務負担が相対的に重い 経理担当が兼務で、振込先変更の手間が大きい
取引期間が短い先 通りにくい 関係ができていない段階で持ち出すと、警戒されやすい
全部の売掛先で3社間にする必要はない

売掛先が複数あるなら、通りやすい先から順に3社間へ移し、通らない先だけ2社間で残すという組み方ができます。全体の加重平均コストが下がれば目的は達成されます。全部か無かで考えると、動かせるものも動かせなくなります。

金額をまとめると、選べる事業者が変わる

3社間へ移すとき、同時に金額の出し方も見直す価値があります。当メディア掲載107社の買取上限を集計すると、次のように偏っています。

買取上限 社数 構成比
3,000万円 74 69.2%
5,000万円以上 21 19.6%
1,000万円以下 8 7.5%
その他 4 3.7%

1回あたり3,000万円までなら、ほぼすべての事業者が候補になります。選べる社数が多いほど、条件の比較が効きます。逆に3,000万円を超えると候補が約3割に絞られ、比較による圧力が弱まります。

この章の要点

金額を大きくまとめると1件あたりの固定費は下がりますが、3,000万円を超えると候補社数が急に減ります。この境目を意識して分割すると、条件交渉の余地が残ります。

形態の変更と、事業者の乗り換えは順番が違う

手数料を下げたいとき、多くの人はまず他社の見積もりを取ろうとします。しかし形態の変更を先に試したほうが、手間も影響も小さく済みます。

1形態を変える|今の事業者のまま。契約の巻き直しだけで、売掛先の承諾が要る。効果は最も大きい。
2条件を変える|今の事業者のまま。金額・タイミング・速度の希望を変える。売掛先は関与しない。
3相見積もりを取る|他社に同じ条件を出す。今の事業者に伝えるかどうかは別途判断する。
4乗り換える|契約解除・登記の抹消・新規設定の順序を誤ると、二重譲渡を疑われる。最後の手段。
乗り換えを先にすると、形態の効果が見えなくなる

事業者を変えると同時に形態も変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。次に条件を交渉するときの材料が残らないため、1つずつ動かすほうが結果的に早く進みます。

入金の流れが変わると、資金繰り表も変わる

3社間に移すと、自社の口座を通る金額そのものが変わります。資金繰り表を入金日ベースで作っている場合、記載の仕方を変える必要があります。

2社間 3社間
自社口座への入金 売掛金の全額が一度入る 入らない(事業者へ直接)
自社口座からの出金 事業者への送金がある ない
手取り額の受け取り 買取代金として先に入る 買取代金として先に入る
通帳上の見え方 入金と出金が両方立つ 買取代金の入金のみ
通帳の見え方が変わる点に注意

2社間では売掛金の入金と事業者への送金が両方通帳に残るため、取引規模が実態より大きく見えることがあります。3社間ではこれがなくなり、通帳は実態に近づきます。金融機関に通帳を出す場面では、この違いが説明のしやすさに影響します。

また、2社間では「売掛金の入金を待って送金する」工程があるため、入金が遅れた場合に自社が立て替える形になります。3社間ではこの立替が発生しません。売掛先の支払いが不安定な場合、この差は資金繰りの安定性に直接効きます。

この章の要点

3社間は手数料だけでなく、事務工程・立替リスク・通帳の見え方も同時に改善します。比較するときは率だけで見ないでください。

継続的に使うなら、どちらを軸にするか

単発で1回だけ使うのか、毎月継続して使うのかで、選ぶべき形態は変わります。

使い方 向いている形態 理由
今回限りの資金手当て 2社間 承諾を取る時間と手間が、1回分の差額に見合わないことがある
毎月の運転資金として継続 3社間 承諾は最初の1回。以降は手続きが軽く、差額が毎月積み上がる
特定の大口案件のみ 3社間 金額が大きいほど、率の差が金額として大きく出る
売掛先が毎回変わる 2社間 都度の承諾取得が現実的でない
継続利用なら、最初の1回の手間は回収できる

承諾を得る手間がかかるのは最初だけです。毎月使うなら、1回目の手間を12回分の差額で割って考えるのが正しい見方になります。

チェックリスト

  • 今の契約形態を、入金の流れで確認した
  • 3社間にした場合の率を、今の事業者に聞いた
  • 差額を1回あたりと年額の両方で出した
  • 取引基本契約書の譲渡制限特約を確認した
  • 売掛先のどの部署に話すかを決めた
  • 伝える文脈を「資金繰り」ではなく事業側に置いた
  • 断られた場合の理由を聞く準備をした
  • 債権譲渡登記の有無と費用を比較に入れた
Q. 2社間と3社間で、手数料は具体的にどれだけ違いますか。

A. 案件によって変わるため、一律の差は示せません。構造上、3社間のほうが事業者のリスクが小さいため低くなります。確かめる唯一の方法は、同じ債権について両方の見積もりを取ることです。ほぼ全社が両方に対応しているため(当メディア掲載107社中、2社間107社・3社間106社)、今の事業者に両方を出してもらうことができます。

Q. 売掛先に知られると、取引に影響しますか。

A. 売掛先の受け取り方次第です。ただし債権譲渡は商取引として一般的な手法であり、それ自体が信用低下を意味するわけではありません。伝える相手と文脈を選ぶことで、受け取られ方は変わります。影響が読めない相手であれば、まず金額の小さい取引先で試す方法もあります。

Q. 契約書に「債権を譲渡してはならない」と書いてあります。3社間はできませんか。

A. 2020年施行の改正民法により、譲渡制限特約が付いていても債権譲渡自体は有効です。ただし売掛先が特約を理由に支払いを拒める場合があるため、実務では承諾を得るのが前提になります。契約書の条文を事業者に見せ、対応可能かを確認してください。

Q. 3社間だと入金が遅いと聞きました。急ぎのときは使えませんか。

A. 承諾を得る時間が必要なため、2社間より日数がかかります。ただし一度承諾を得た売掛先については、2回目以降の手続きが短くなるのが通常です。継続的に資金化しているなら、最初の1回だけ時間をかけて、以降は3社間で回すという組み方ができます。

Q. 売掛先が複数あります。全部を3社間にしないと意味がありませんか。

A. ありません。通りやすい売掛先から順に移し、通らない先は2社間で残すという進め方で問題ありません。目的は全体の加重平均コストを下げることなので、一部でも移せば効果は出ます。金額の大きい売掛先から順に検討すると、効率よく効きます。

Q. 2社間のまま手数料を下げることはできますか。

A. できる場合があります。継続利用の実績、決算書の提出、資金化する金額をまとめること、入金までの希望を緩めることが材料になります。いずれも「事業者から見えるリスクを減らす」という方向で共通しています。

この記事の数字について

  • 契約形態の対応状況・法人/個人事業主の可否・オンライン対応の集計は、当メディアが掲載している事業者107社の公表値を集計したものです(集計日:2026年9月15日)。各社の公表内容は変更されることがあります。
  • 手数料率の数値例は、構造を説明するために置いた仮定値です。実際の条件は案件ごとに異なります。
  • 実質年率は「手数料率 ÷ 早期化日数 × 365」で単純計算したものです。ファクタリングは法的には債権の売買であり、貸付ではありません。
  • 譲渡制限特約の効力については、民法第466条(2020年4月1日施行の改正民法)に基づいています。