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資金化コストの見直し2社間と3社間の手数料差は、誰が売掛金を回収するかという構造の差。掲載107社の対応状況を集計し、差額を年率と年額で示したうえで、売掛先の承諾を取る切り出し方まで。

2社間と3社間の手数料差は、サービスの質の差ではありません。売掛金を最終的に誰が回収するか、という構造の違いがそのまま価格に出ています。
事業者から見ると、買い取った債権の代金がいったん自社の口座に入り、そこから送金されるのを待つことになります。その間に別の支払いに回されるリスク、倒産するリスクを負います。この構造の差が手数料の差です。
2社間の手数料が高いのは事業者が余分なリスクを負っているためです。そのリスクを減らせば、価格も動きます。
当メディアが掲載している107社について、対応している契約形態を集計しました。
| 項目 | 社数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 2社間に対応 | 107 | 100% |
| 3社間に対応 | 106 | 99.1% |
| 法人の利用可 | 107 | 100% |
| 個人事業主の利用可 | 92 | 86.0% |
| オンライン完結に対応 | 107 | 100% |
2社間しか扱わない事業者、3社間しか扱わない事業者は、実質的にほとんどありません。つまり「この会社は2社間しかできないから高い」という説明は成り立ちません。2社間になっているのは、自社が売掛先への通知を避ける選択をしているからです。
ここが重要です。契約形態は事業者側の制約ではなく、自社側で選んでいる変数です。手数料を動かしたいとき、最初に検討すべきはここになります。
2社間で上乗せされている分が、何に対する対価なのかを分解します。ここを理解しておくと、交渉で何を差し出せばよいかが分かります。
4つとも「売掛先に確認できない」ことから生じています。3社間にするとこの4つが同時に小さくなるため、価格が大きく動きます。
売掛金800万円、支払期日まで50日。同じ債権を、2社間と3社間それぞれで資金化した場合を比べます。
| 2社間 | 3社間 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 手数料率 | 10.0% | 3.0% | 7.0ポイント |
| 手数料額 | 800,000円 | 240,000円 | 560,000円 |
| 手取り額 | 7,200,000円 | 7,760,000円 | 560,000円 |
| 入金までの日数 | 当日〜翌営業日 | 数日〜1週間 | — |
| 売掛先への通知 | なし | あり | — |
差額56万円は、「売掛先に知らせない」ことに対して払っている金額です。この金額を見てから、通知を避ける理由がそれに見合うかどうかを考えます。
毎月同じ規模で資金化しているなら、年間で672万円の差です。1回ごとの56万円では動かなくても、年額で見ると判断が変わることがあります。
3社間は入金までに日数がかかるため、率だけでなく早期化できる日数も変わります。年率に直すと次のようになります。
| 2社間 | 3社間 | |
|---|---|---|
| 手数料率 | 10.0% | 3.0% |
| 実際に早めた日数 | 49日 | 44日 |
| 実質年率 | 74.5% | 24.9% |
3社間は入金が数日遅れる分、早期化日数が短くなります。それでも年率では約3分の1です。日数のハンデを考慮してもなお、3社間のほうが安いという構造は変わりません。
「3社間は入金が遅いから結局同じ」という話にはなりません。数日の遅れより、率の差のほうがはるかに大きいからです。
切り替えを検討するとき、手数料以外に何が変わるのかを先に把握しておきます。
| 項目 | 2社間 | 3社間 |
|---|---|---|
| 売掛先に知られるか | 知られない | 知られる |
| 売掛先の手続き | なし | 承諾書への記名・押印 |
| 入金までの日数 | 短い | 承諾を待つ分だけ長い |
| 自社の送金作業 | 必要 | 不要(事業者へ直接入金) |
| 債権譲渡登記 | 求められることが多い | 省略されることがある |
| 入金の取り違えリスク | ある | 小さい |
2社間では、入金を受けて事業者へ送金する作業が毎回発生します。送金を忘れる、金額を間違えるといった事故も起こり得ます。3社間では売掛先から事業者へ直接入金されるため、この工程がなくなります。
3社間を避ける最大の理由は「売掛先に知られたくない」ですが、実際に承諾しない売掛先がどれくらいいるかは、聞いてみないと分かりません。断られる場合の理由は、だいたい次に分類できます。
2020年施行の改正民法により、譲渡制限特約が付いていても債権譲渡は有効とされています。ただし売掛先は特約を理由に支払いを拒める場合があるため、実務上は承諾を得るのが前提になります。契約書の条文を確認したうえで、事業者と相談してください。
「資金繰りが苦しいので」と切り出すと、相手は与信の話として受け取ります。伝える内容を変えるだけで、受け取られ方は変わります。
承諾を得られるかどうかは、売掛先の規程と、こちらの伝え方の両方で決まります。聞かずに2社間を続けているなら、判断材料がない状態です。
形態を変えても率が動かないことがあります。その場合、原因は形態以外にあります。
| 原因 | 確認すること |
|---|---|
| 売掛先の信用力が低い | 他の売掛先で見積もりを取り、率が変わるか見る |
| 金額が小さい | 複数の請求をまとめて出せるか確認する |
| 支払期日までが短い | 締め日の直後に出せないか、タイミングを変える |
| その事業者の水準そのもの | 他社に同じ条件で見積もりを出す |
売掛先への通知がどうしてもできない場合でも、2社間の中で条件を動かす余地はあります。
2社間では、事業者が対抗要件を確保するために債権譲渡登記を求めることが多いのに対し、3社間では売掛先の承諾が対抗要件になるため、登記が省略されることがあります。
登記を省けるかどうかは、売掛先の承諾が取れるかで決まります。3社間で売掛先に承諾をお願いする手順と、3社間をやめたほうがよい場合を、依頼の文面の例とあわせて読めます。
登記には司法書士報酬を含めた費用がかかり、手続きの時間も必要です。登記事項概要ファイルは誰でも取得できるため、金融機関が与信の過程で確認することがあります。3社間で登記を省略できるなら、この点も条件の一部として比べる価値があります。
3社間の可否は「売掛先が承諾するか」だけで決まります。相手の性質によって、通りやすさには明確な傾向があります。
| 売掛先 | 承諾の通りやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 官公庁・自治体 | 規程次第で明確 | 手続きが定型化されている一方、認めていない場合は例外がない |
| 上場企業 | 社内規程の確認に時間がかかる | 法務・経理の複数部署が関与する |
| 中堅企業 | 比較的通りやすい | 判断できる人が近く、前例がなくても検討してもらえる |
| 小規模事業者 | 相手の事務負担が相対的に重い | 経理担当が兼務で、振込先変更の手間が大きい |
| 取引期間が短い先 | 通りにくい | 関係ができていない段階で持ち出すと、警戒されやすい |
売掛先が複数あるなら、通りやすい先から順に3社間へ移し、通らない先だけ2社間で残すという組み方ができます。全体の加重平均コストが下がれば目的は達成されます。全部か無かで考えると、動かせるものも動かせなくなります。
3社間へ移すとき、同時に金額の出し方も見直す価値があります。当メディア掲載107社の買取上限を集計すると、次のように偏っています。
| 買取上限 | 社数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 3,000万円 | 74 | 69.2% |
| 5,000万円以上 | 21 | 19.6% |
| 1,000万円以下 | 8 | 7.5% |
| その他 | 4 | 3.7% |
1回あたり3,000万円までなら、ほぼすべての事業者が候補になります。選べる社数が多いほど、条件の比較が効きます。逆に3,000万円を超えると候補が約3割に絞られ、比較による圧力が弱まります。
金額を大きくまとめると1件あたりの固定費は下がりますが、3,000万円を超えると候補社数が急に減ります。この境目を意識して分割すると、条件交渉の余地が残ります。
手数料を下げたいとき、多くの人はまず他社の見積もりを取ろうとします。しかし形態の変更を先に試したほうが、手間も影響も小さく済みます。
事業者を変えると同時に形態も変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。次に条件を交渉するときの材料が残らないため、1つずつ動かすほうが結果的に早く進みます。
3社間に移すと、自社の口座を通る金額そのものが変わります。資金繰り表を入金日ベースで作っている場合、記載の仕方を変える必要があります。
| 2社間 | 3社間 | |
|---|---|---|
| 自社口座への入金 | 売掛金の全額が一度入る | 入らない(事業者へ直接) |
| 自社口座からの出金 | 事業者への送金がある | ない |
| 手取り額の受け取り | 買取代金として先に入る | 買取代金として先に入る |
| 通帳上の見え方 | 入金と出金が両方立つ | 買取代金の入金のみ |
2社間では売掛金の入金と事業者への送金が両方通帳に残るため、取引規模が実態より大きく見えることがあります。3社間ではこれがなくなり、通帳は実態に近づきます。金融機関に通帳を出す場面では、この違いが説明のしやすさに影響します。
また、2社間では「売掛金の入金を待って送金する」工程があるため、入金が遅れた場合に自社が立て替える形になります。3社間ではこの立替が発生しません。売掛先の支払いが不安定な場合、この差は資金繰りの安定性に直接効きます。
3社間は手数料だけでなく、事務工程・立替リスク・通帳の見え方も同時に改善します。比較するときは率だけで見ないでください。
単発で1回だけ使うのか、毎月継続して使うのかで、選ぶべき形態は変わります。
| 使い方 | 向いている形態 | 理由 |
|---|---|---|
| 今回限りの資金手当て | 2社間 | 承諾を取る時間と手間が、1回分の差額に見合わないことがある |
| 毎月の運転資金として継続 | 3社間 | 承諾は最初の1回。以降は手続きが軽く、差額が毎月積み上がる |
| 特定の大口案件のみ | 3社間 | 金額が大きいほど、率の差が金額として大きく出る |
| 売掛先が毎回変わる | 2社間 | 都度の承諾取得が現実的でない |
承諾を得る手間がかかるのは最初だけです。毎月使うなら、1回目の手間を12回分の差額で割って考えるのが正しい見方になります。
A. 案件によって変わるため、一律の差は示せません。構造上、3社間のほうが事業者のリスクが小さいため低くなります。確かめる唯一の方法は、同じ債権について両方の見積もりを取ることです。ほぼ全社が両方に対応しているため(当メディア掲載107社中、2社間107社・3社間106社)、今の事業者に両方を出してもらうことができます。
A. 売掛先の受け取り方次第です。ただし債権譲渡は商取引として一般的な手法であり、それ自体が信用低下を意味するわけではありません。伝える相手と文脈を選ぶことで、受け取られ方は変わります。影響が読めない相手であれば、まず金額の小さい取引先で試す方法もあります。
A. 2020年施行の改正民法により、譲渡制限特約が付いていても債権譲渡自体は有効です。ただし売掛先が特約を理由に支払いを拒める場合があるため、実務では承諾を得るのが前提になります。契約書の条文を事業者に見せ、対応可能かを確認してください。
A. 承諾を得る時間が必要なため、2社間より日数がかかります。ただし一度承諾を得た売掛先については、2回目以降の手続きが短くなるのが通常です。継続的に資金化しているなら、最初の1回だけ時間をかけて、以降は3社間で回すという組み方ができます。
A. ありません。通りやすい売掛先から順に移し、通らない先は2社間で残すという進め方で問題ありません。目的は全体の加重平均コストを下げることなので、一部でも移せば効果は出ます。金額の大きい売掛先から順に検討すると、効率よく効きます。
A. できる場合があります。継続利用の実績、決算書の提出、資金化する金額をまとめること、入金までの希望を緩めることが材料になります。いずれも「事業者から見えるリスクを減らす」という方向で共通しています。
この記事は資金化コストの見直しの一部です。手段そのものを比べたい場合は、あわせてご覧ください。