
提示された手数料率は、実際に負担する金額の一部でしかないことがあります。
この記事で扱う例では、見積書の表示が8%でも、額面に対する実質の負担は9.07%になります。差は1.07ポイント。年24回使えば、見えていない費用だけで年224万円です。
提示された率は、実質の負担とは違うことがあります。
確認すべき項目をすべて並べたシートです。取引ごとに1枚、埋めてから比べてください。
事務系・登記系・手続系・継続系・契約終了時・その他の6分類。金額が分からない項目は「要確認」のまま残し、必ず事業者に聞いてください。最後に「実際に手元に残る金額」と「額面に対する実質の負担率」を出します。
見積書に出てこない費用の洗い出しシート
対象の取引ごとに1枚。金額が分からない項目は「要確認」と書いて、必ず聞くこと。
| 分類 | 項目 | 金額(円) | 誰に払うか | いつ払うか | 見積書に記載あり | 確認状況 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 取引の基本 | 売掛金の額面 | 5,000,000 | — | — | — | — |
| 取引の基本 | 買取の対象額(掛け目適用後) | 4,500,000 | — | — | あり | 確認済 |
| 主たる費用 | 買取手数料 | 360,000 | 事業者 | 実行時に差引 | あり | 確認済 |
| 主たる費用 | 留保金(期日後に返還される額) | 500,000 | — | 入金後 | 要確認 | 要確認 |
以下は見積書に載らないことがある項目
| 事務系 | 事務手数料 | 事業者 | 実行時に差引 | 要確認 | 要確認 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事務系 | 審査料・申込手数料 | 事業者 | 申込時 | 要確認 | 要確認 | |
| 事務系 | 契約書の印紙代 | 税務署 | 契約時 | 要確認 | 要確認 | |
| 事務系 | 振込手数料 | 金融機関 | 実行時 | 要確認 | 要確認 | |
| 登記系 | 債権譲渡登記の登録免許税 | 法務局 | 登記時 | 要確認 | 要確認 | |
| 登記系 | 司法書士報酬 | 司法書士 | 登記時 | 要確認 | 要確認 | |
| 登記系 | 登記事項証明書の取得費用 | 法務局 | 都度 | 要確認 | 要確認 | |
| 登記系 | 登記の抹消費用 | 法務局・司法書士 | 解約時 | 要確認 | 要確認 | |
| 手続系 | 公証人費用(確定日付) | 公証役場 | 手続時 | 要確認 | 要確認 | |
| 手続系 | 内容証明・通知の費用 | 郵便局 | 通知時 | 要確認 | 要確認 | |
| 手続系 | 必要書類の取得費用(謄本・納税証明等) | 役所等 | 申込時 | 要確認 | 要確認 | |
| 継続系 | 月額・年額の管理料 | 事業者 | 毎月/毎年 | 要確認 | 要確認 | |
| 継続系 | 枠の維持費用 | 事業者 | 毎月/毎年 | 要確認 | 要確認 | |
| 継続系 | 最低利用額に満たない場合の費用 | 事業者 | 期末 | 要確認 | 要確認 | |
| 契約終了時 | 中途解約の違約金 | 事業者 | 解約時 | 要確認 | 要確認 | |
| 契約終了時 | 残存期間の費用 | 事業者 | 解約時 | 要確認 | 要確認 | |
| その他 | 出張費・訪問費用 | 事業者 | 都度 | 要確認 | 要確認 | |
| その他 | 再審査・条件変更の手数料 | 事業者 | 都度 | 要確認 | 要確認 | |
| その他 | 期日に入金がなかった場合の遅延損害金 | 事業者 | 発生時 | 要確認 | 要確認 |
集計
| 集計 | 見積書に記載のある費用の合計 | 360000 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 集計 | 見積書に出てこない費用の合計 | |||||
| 集計 | 実際に手元に残る金額 | |||||
| 集計 | 額面に対する実質の負担率 |
計算のしかた
実際に手元に残る金額 = 買取の対象額 − 主たる費用 − その他すべての費用(+期日後に返還される留保金)
実質の負担率 = (額面 − 最終的に受け取る合計) ÷ 額面
年率 = 実質の負担率 × 365 ÷ 支払期日までの日数
コピーを押すと、タブ区切りでクリップボードに入ります。 Googleスプレッドシートに貼ると列が揃ったまま入ります(計算式は入りません)。
入っている数字はすべて記入例です。実在の会社のものではありません。 自社の数字に置き換えて使ってください。
「要確認」が残っているなら、まだ比べる段階ではありません。金額が出ない項目があるなら、それ自体が判断材料になります。
「要確認」をすべて埋めてから比べてください。
| 分類 | 項目 |
|---|---|
| 事務系 | 事務手数料 |
| 審査料・申込手数料 | |
| 契約書の印紙代 | |
| 振込手数料 | |
| 登記系 | 債権譲渡登記の登録免許税 |
| 司法書士報酬 | |
| 登記事項証明書の取得費用 | |
| 登記の抹消費用 | |
| 手続系 | 公証人費用(確定日付) |
| 内容証明・通知の費用 | |
| 必要書類の取得費用(謄本・納税証明など) | |
| 継続系 | 月額・年額の管理料 |
| 枠の維持費用 | |
| 最低利用額に満たない場合の費用 | |
| 契約終了時 | 中途解約の違約金 |
| 残存期間の費用 | |
| その他 | 出張費・訪問費用 |
| 再審査・条件変更の手数料 | |
| 期日に入金がなかった場合の遅延損害金 |
これは「発生しうる項目のリスト」です。多くは該当しません。重要なのは、該当するかどうかを確認することです。
該当するかを1つずつ確認してください。
額面500万円、掛け目90%(買取対象450万円)、手数料8%の場合です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売掛金の額面 | 5,000,000円 |
| 買取の対象額(掛け目90%) | 4,500,000円 |
| 買取手数料(8%) | 360,000円 |
| 実行時の受取 | 4,140,000円 |
| 期日後に返還される留保金 | 500,000円 |
ここまでが見積書に書かれている内容です。ここに、次の費用が加わります。
| 見積書に出てこない費用 | 金額(例) |
|---|---|
| 事務手数料 | 30,000円 |
| 債権譲渡登記の登録免許税 | 7,500円 |
| 司法書士報酬 | 50,000円 |
| 契約書の印紙代 | 2,000円 |
| 振込手数料 | 880円 |
| 必要書類の取得費用 | 3,000円 |
| 合計 | 93,380円 |
453,380円 ÷ 5,000,000円=9.07%。見積書の表示は8%ですから、1.07ポイントの差があります。
各費用の金額は取引の内容と事業者で大きく変わります。ここに挙げたのは計算の形を示すための例です。自社の見積もりの実額で計算してください。登録免許税は債権の個数に応じて定められているため、法務局・法令で確認してください。
実質の負担は合計 ÷ 額面で出してください。
| 支払期日まで | 手数料だけの年率 | 実質の年率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 30日 | 87.6% | 110.3% | +22.7pt |
| 60日 | 43.8% | 55.2% | +11.4pt |
| 90日 | 29.2% | 36.8% | +7.6pt |
登記費用や事務手数料は、金額が固定なので期間が短いほど年率への影響が大きくなります。サイト30日の債権では、22.7ポイントも違います。
年率換算の方法は 今の手数料が高いかどうかを判断する材料 の記事で扱っています。
固定の費用は、サイトが短いほど重く効きます。
| 分母 | 同じ36万円が何%になるか |
|---|---|
| 買取の対象額(450万円) | 8.0% |
| 売掛金の額面(500万円) | 7.2% |
| 実際に受け取る額(414万円) | 8.7% |
率だけを比べても意味がないのは、会社によって分母が違うからです。必ず「何に対する何%か」を確認してください。
比べるときは、率ではなく金額に直してください。「額面500万円に対して、実際に手元にいくら入り、最終的にいくら負担するのか」に揃えれば、分母の違いは消えます。
率は分母で変わります。金額で比べてください。
| 項目 | 誰に払うか | いつ |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 法務局 | 登記時 |
| 司法書士報酬 | 司法書士 | 登記時 |
| 登記事項証明書・概要記録事項証明書 | 法務局 | 都度 |
| 抹消登記の費用 | 法務局・司法書士 | 解約時 |
設定の費用は見積書に出ても、解約時の抹消費用は説明されないことがあります。誰が負担するのかを、契約前に確認してください。
登録免許税は債権の個数に応じて定められています。金額と手続きは法務省・法務局の案内で確認してください。司法書士報酬は事務所によって異なります。
登記の全体像は 債権譲渡登記の費用と期間 の記事で扱っています。
抹消の費用と負担者を、契約前に確認してください。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 月額・年額の管理料 | 使わない月も発生するか |
| 枠の維持費用 | 枠を持つだけで費用があるか |
| 最低利用額 | 満たない場合に費用が発生するか |
| 最低利用回数 | 同上 |
| 再審査の手数料 | 何か月ごとに再審査があるか |
これらは継続契約の条項に書かれているもので、初回の見積書には現れません。契約書を読むか、明示的に聞いてください。
最低利用額がある場合、「使う必要がないのに使う」という判断を強いられることがあります。資金繰りが改善しても、契約のために使い続けることになります。
最低利用額は、使わなくてよい月にも費用を生みます。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 中途解約の違約金 | 金額と、発生する条件 |
| 残存期間の費用 | 期間分を払う定めがあるか |
| 登記の抹消費用 | 誰が負担するか |
| 留保金の返還 | いつ、どういう条件で |
| 進行中の取引の精算 | 回収未了の債権の扱い |
違約金や残存期間の費用が大きいと、条件が悪化しても離れられなくなります。入る前に、出るときの費用を確認してください。
乗り換えの判断は 同じ事業者を使い続けることの、得と損 の記事で扱っています。
入る前に、出るときの費用を確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 留保金 | 費用ではないが、期日まで受け取れない |
| 保証金・預託金 | 差し入れる場合、その間は使えない |
| 掛け目による差 | 額面と買取額の差 |
| 入金までの日数 | 実行から着金までの時間 |
期日後に返還されるなら損失ではありません。しかし「今いくら手元に入るか」には確実に効きます。必要な現金額が足りるかを確認してください。
掛け目と留保金の関係は 今の手数料が高いかどうかを判断する材料 の記事で扱っています。
留保金は損失ではないが、今の現金には効きます。
「額面500万円の債権について、実行時に手元に振り込まれる金額と、最終的に当社が負担する費用の総額を、内訳とあわせてお知らせください。手数料以外に、事務手数料・登記費用・司法書士報酬・印紙代・振込手数料など、当社が負担するものがあればすべて含めてください」
| この聞き方の利点 | 内容 |
|---|---|
| 項目を漏らさない | 「総額」と聞いている |
| 金額で返ってくる | 率ではなく円で |
| 比べられる | 全社に同じ質問ができる |
| 誠実さが分かる | 答え方で相手が分かる |
最後の行が重要です。この質問に明確に答えない事業者とは、取引しないほうがよいという判断ができます。
「振り込まれる金額と、負担する総額」を聞いてください。
| 書面 | 確認すること |
|---|---|
| 見積書(内訳つき) | すべての費用が記載されているか |
| 契約書の案 | 署名前に読む時間をもらう |
| 債権譲渡契約書 | 譲渡の範囲 |
| 重要事項の説明書 | あれば |
| 精算書(実行後) | 実際に引かれた金額の内訳 |
実行後に「思っていた金額より少ない」ということがあります。精算書を取り寄せて、見積もりと1円単位で照合してください。差があれば、その理由を聞きます。
署名を急かされる場合は注意してください。契約書を読む時間をもらえないなら、その取引は見送る判断も必要です。
実行後の精算書を、見積もりと照合してください。
| 比べる項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 手数料率の表示 | 8.0% | 6.5% |
| 掛け目 | 90% | 80% |
| 実行時に振り込まれる額 | ? | ? |
| 期日後に返還される額 | ? | ? |
| 費用の総額 | ? | ? |
| 額面に対する実質の負担率 | ? | ? |
6.5%は8.0%より低い数字です。しかし掛け目が80%なら、実行時に振り込まれる額はA社より少なくなります。必要な現金が足りるかも含めて比べてください。
比べ方の手順は 相見積もりを取ることを、今の事業者に伝えるべきか の記事で扱っています。
下の4行を埋めれば、率の違いは消えます。
| 項目 | 1回 | 年24回 |
|---|---|---|
| 買取手数料 | 360,000円 | 8,640,000円 |
| 見えていない費用 | 93,380円 | 2,241,120円 |
| 合計 | 453,380円 | 10,881,120円 |
1回あたりでは小さく見える金額です。継続して使うなら、年間の総額で判断してください。
登記費用のように1回設定すれば継続利用でかからない項目もあります。毎回発生するのか、初回だけなのかを必ず確認してください。
毎回か、初回だけかを確認してください。
費用の洗い出しをするなら、それぞれの会計・税務上の扱いも同時に確認しておくと手戻りがありません。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 買取手数料 | どの勘定科目で処理するか |
| 消費税の課否 | 項目ごとに扱いが分かれる |
| 登記費用・司法書士報酬 | 費用処理か、繰延べか |
| 印紙代 | 租税公課 |
| 司法書士報酬 | 源泉徴収の要否 |
| 売掛金の消滅時期 | いつ落とすか |
債権の譲渡そのものと、事務手数料などのサービスの対価では、消費税の扱いが分かれることがあります。見積書の金額が税込か税抜かも含めて確認してください。
司法書士への報酬は、源泉徴収の対象になる場合があります。事業者が一括して立て替えている場合と、自社が直接払う場合で扱いが変わります。誰が払う形になっているかを確認してください。
具体的な処理は取引の形によって変わります。国税庁の資料を確認し、判断に迷う場合は税理士に相談してください。
消費税の課否と源泉徴収の要否を確認してください。
費用を洗い出したら、1つずつ「これは何のための費用か」を確認してください。
| 費用 | 誰のためか | 交渉の余地 |
|---|---|---|
| 登録免許税・印紙代 | 国(法定の費用) | ない |
| 司法書士報酬 | 司法書士 | 事務所による |
| 事務手数料 | 事業者 | ある |
| 審査料 | 事業者 | ある |
| 管理料・枠の維持費用 | 事業者 | ある |
| 振込手数料 | 金融機関 | 小さい |
登録免許税や印紙代は法律で決まっているため交渉できません。一方、事務手数料や審査料は事業者が決めているので、交渉の対象になります。
また、「事務手数料」の内容を聞いてください。何の作業に対する対価なのかを説明できないなら、実質的に手数料の上乗せです。その場合は手数料率と合算して比べてください。
法定の費用と事業者が決める費用を分けてください。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | シートをダウンロードし、取引ごとに1枚用意する |
| 2 | 見積書に書かれている項目を埋める |
| 3 | 「実行時に振り込まれる額と、負担する総額」を聞く |
| 4 | 回答を内訳ごとにシートへ書き写す |
| 5 | 「要確認」が残っていないか確認する |
| 6 | 額面に対する実質の負担率を出す |
| 7 | 年率に換算し、年間の総額も出す |
| 8 | 実行後、精算書と照合する |
見積もりの段階で確認しても、実際に引かれた金額と一致しているかは、精算書でしか分かりません。初回は必ず照合してください。
初回は必ず精算書と照合してください。
14番の数字が出れば、比較ができます。
この記事はファクタリングの一部です。手段そのものを比べたい場合は、あわせてご覧ください。