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2016.02.22
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文化にしてしまえば、改善は回る、効果も自ずと上がる【Webマーケティング・リレーセミナー レポート】

「改善」に鉄板はない

これは累計170社以上のWebマーケティング改善をサポートしてきたカスタマーサクセス部門責任者の鬼石真裕による言葉です。

世の中、いやインターネットという海を漂うWebサイトにはまだまだ改善の余地があるものが、たくさん存在します。とはいえ、「これをやっておけば必ず成功する」、という「鉄板」は存在するハズがありません。

しかし、数多という改善の経験から得た知見や仮説は、業種・業態が変化しようと間違いなく活かせます。それを生かすも殺すも組織、そして風土次第。

今回は、2016年1月21日にイタリア文化会館にて鬼石真裕が登壇した、「第29回Webマーケティング リレーセミナー」の模様から、「継続的な改善の必要性」と「成果をあげる組織の作り方」をお届けします。

なぜ継続的な改善が必要なのか?

イベントの前半パートとなる講演では、弊社鬼石より、「なぜ継続的な改善が必要なのか」について語られました。

鬼石は、継続的な改善が必要な背景として、 「顧客獲得コストの増加」 と、 「トレンドの変化が高速化」したことを挙げました。

顧客獲得数が増えるに従って、獲得単価は増加していきます。同じCPAで獲り続けることは不可能と言えるでしょう。

単価が上がっている中でさらに顧客獲得を目指すのであれば、コストを上げるかCVRを向上させるか、二つの選択肢となります。

ここで、CVRを向上させた事例を一つご紹介します。皆さんご存知の、オバマ大統領の選挙戦です。2008年、彼が政治資金を集めるためにWebサイトを開設しました。そこでポイントとなったのが、A/Bテストです。

何をしたかというと、オバマの写真と有権者へのメッセージを複数パターン用意し、A/Bテストによる最適化を図りました。その結果、60億円もの政治資金を集めることに成功しています。写真とメッセージを複数パターン、制作そのものにかかった時間はせいぜい数時間程度でしょう。それを考えると、ほんの数時間で60億円もの効果に繋がったと言えます。

いかに時間をかけずに効率を上げるか。仮説をスピーディに実行・検証し、結果を踏まえてまた仮説を立てることが大切ということです。

話を変えて、もう一つのポイントである「トレンドの変化が高速化」したという点です。10代から20代前半までの年齢層は、PCよりもスマホを使用し、ネットに触れている時間もどんどん伸びてきています。なのに、まだまだ各社の打ち手は、「スマホ最適化」でしかなく、「スマホファースト」ではない。

我々が消費者側に追いつく必要があります。

「自ら行動できるチーム」を育て、改善を続ける文化を作れ

次に鬼石は、グロースハック(成長支援)の手法は、導入期、専任期、拡大期と、フェーズによって異なると語りました。

【導入期】

導入期では、担当者、予算策定者が「時間がかかって大変なもの」という認識のもとに、ツールに合わせて実行していく必要があると語尾を強めました。

なぜなら、「ツールが全て解決する」、「自分たちが関わる必要はない」という勘違いが多く、Kaizen Platformを導入したものの、効果をあげるアクションがわからない、結果、効果が上がらないというスパイラルに陥り、挫折してしまうケースが多いからです。

改善活動にとってベストな状態は、「自分たちで改善を継続していけるチーム、そして風土」が社内に存在していることと言えます。

ここで一つ事例を紹介しました。A社では改善活動を継続する風土を作るために、「カイゼンリーグ」を開催したのです。部署の中で、チームを3つにわけ、月に数回テストを実施。改善率を競い合うというリーグです。その結果、テスト結果が成功でも失敗でも、とにかく「試してみる」というスピード感を感じることにつながったとのこと。

結果も当然大事ですが、導入期は、打席を増やす、そして改善へ向けて行動していることを評価できる組織が重要なのです。

【専任期】

ある程度、サイクルが回り始めたこの時期では、「成功を演出し、ファーストサクセスを出来るだけ早く構築することが良い」と鬼石は説きます。なぜなら、小さな成功体験を繰り返すことで、改善の価値が理解され、改善活動の領域も広がり、別のページ・プロジェクトもやりやすくなるからです。

小さな成功を増やしていくためには、Webページの中でテストを実行しやすく、成果を出しやすい場所を探る必要があります。さきほどの事例にも出てきたA社が専任期に取り組んだのは、「金脈リスト」を作ることでした。

この金脈リストとは、「成果が出やすいページはどこか」、「テストをしやすいページはどこか」、そして、「ここを変えれば数字が上がる」、というもの。A社は、この「金脈リスト」を用いて月10本というペースで徹底的に施策を回し、サクセスを積んでいきました。

成功体験を積み、効果が見えることで、改善活動を継続していく風土の醸成にも自然と繋がる訳です。

【拡大期】

さらなるスピード向上と効果アップを狙う拡大期は、専任期までに作り上げた改善活動を継続して行なう「風土」を、会社の文化として定着させる時期です。これは、組織として改善の意識を完全に定着させることとも言えます。

さきほど紹介したA社とは別の事例となりますが、改善サイクル自体を固定化しました。テスト案を決定するミーティングスケジュールから、モニタリング、振り返りまでのサイクルを2週間と決め、習慣化を実施。スケジュールを決めることで、結果、「サイクルを回さざるを得ない」という習慣になり、改善活動は否が応でも継続されたと聞きます。

他にはマネジメント側が現場に自由にできる範囲を決めたと言い、現場のメンバーたちのモチベーションも上がったようです。ただ、全て自由放任とするわけではなく、リスクヘッジのためのルール設定にはかなり注力したようです。

例えば、「テスト案を決めて1日経過後、3割毀損したら直ちに止める」などのルールです。

また、改善を続けられる状態になったら、効果が誰でも見られる状態にする、「見える化」も重要です。それは何故か?普段、関わりのない別の部署の人でも効果を見られる環境になり、外から新しい仮説がもたらされるなど、改善活動を文化・習慣として根付かせることができます。

話は最初に戻りますが、「ここを変えれば必ず向上する!」、という「鉄板」は存在しません。事例に挙げた会社のように「一日一“善”」のペースで課題を抽出し、挑戦できる環境を目指すことが重要です。

「早く成果を出して、ラーニングする」重要なのは心がけとディレクション

後半のパートは、UX解析ツールUSERDIVEを提供する株式会社 UNCOVER TRUTH COOの小畑陽一氏とWebアナリストの小川 卓氏を交えて対談が行われました。

はじめに小川氏より、「Kaizen Platformを導入したが、うまくいかない」という悩みがあるユーザーにはどんな共通点があるか、質問がありました。

鬼石は、「簡単ですぐに効果が上がる」「ツールを導入すればすべてが解決する」という認識がある場合、導入後につまずいてしまうことを挙げました。

一方の小畑氏も、「実装が回らない」ケースを指摘。

業界や企業によって様々なルールや制約、スピード感の違いによって、PDCAサイクルが進まない場合があります。中には担当者が半ば趣味のように扱ってしまい、せっかく上がってきた数字を見ただけで満足し、施策につなげない、というケースもあるそうです。

企業が改善活動に取り組む際には、「時間がかかるものだ」という認識と、「改善に向けて積極的に取り組むチーム」を作ることが重要です。

ちなみに、Kaizen Platform Inc,と株式会社 UNCOVER TRUTHは共に2013年創業。スタートから4年あまりが経過した今、鬼石と小畑氏は、今後企業にとってウェブサイトの継続的な改善は当たり前になっていくだろうと口を揃えました。

スマホからのネット利用者がPC利用者を上回った今、業界を問わずWebサイトを、スマホファーストへと改善しようという動きが高まっています。広告費を使い、集客だけを考えていれば売り上げが立つというWebマーケティングは成立しません。マーケターも、集客のみではなく、改善を続けてより良いサービスに育てる、最適化まで含めて考える必要があります。

Webサイト改善に必要なのは、「仮説」をどれだけ用意できるか。Kaizen Platformがグロースハッカーのネットワークを所有しているのも、「仮説」の幅を広げるため。なぜなら、第三者であるグロースハッカーは、「新しい観点」を加えてくれるからです。

「新しい観点」に対して、「これはありえないよね?」という主観や思い込みによって、良い提案を逃してしまうのはもったいない。とにかく試してみる姿勢も必要です。試した結果、効果がなければ、別の仮説に変えれば良いのです。

継続的な改善のためには、主観や思い込みを捨て、様々な施策を試していくチーム作り、文化の醸成も重要になります。