私は、中国電力に所属時に原子力発電所の設計業務に携わリました。そこでは、例えば中央制御室の設計は操作性やヒューマンエラー防止のためのデザイン(色、形状)や配置など、細部にまで考えが行き届いていました。私は、あるきっかけでリハビリ(理学療法士)分野に職業を変え、病院で勤務した経験があります。そこで最初に感じたのは、病院での生活環境は現代の科学技術から考えると相当遅れた状況にあるということです。例えば、からだの不自由な患者様が車いすを手足で駆動しているのが当たり前でした。その後、訪問リハビリの分野で独立し高齢者の在宅生活をサポートする仕事をさせて頂いていますが、在宅介護の住環境も同様に遅れている状況でした。その中において老老介護で生活が破綻していく様子や「家に住みたい、家がいい」と嘆きながら施設に入所されていく姿をたくさん見てきました。現在、家、ベッド、トイレおよびバスなどが個別に考えられているために、高齢者の在宅後期の住環境が劣悪な状態となっている状況があります。私は、これまでの経験を活かしてこの状況を変えていきたいと思い、この活動に取り組んでいます。
1点目は、「現在の開発やり方(進め方)では最適にならない」ということ。私たちは、生活に必要な要素や人間の身体の特徴等に基づいて、現在の住環境の既成概念を完全に打破し、全くのゼロベースからさいごまで過ごせる最適「空間」と「家」のかたちを考えています。
2点目は、「技術とアイデアのシェア」。異なる専門分野が協力してお互いの技術やアイデアをシェア(共有)することでよりよいものができあがる。本プロジェクトでは人の動き(動作分析)の専門家(弊社)と家づくり(付帯設備を含む)の専門家(協力会社)が協力することで最適な環境ができあがると信じています。