塩⼊ 孔志

所属スタートアップ

飲食店

毎日来ても、飽きないお店を作る【塩⼊孔志】

実績

私が料理の道を志したのは、ごく自然な流れでした。幼い頃から食卓を囲む時間が好きで、「作る側に回りたい」という気持ちはいつの間にか揺るぎないものになっていました。

飲食の専門学校へ進んだのは、その思いを形にするための最初の一歩です。学校では調理の基礎はもちろん、食材の知識や衛生管理、接客の心得まで幅広く学びました。座学と実習を繰り返す日々の中で、料理とは単に技術を習得するものではなく、人に何かを届けるための手段なのだという感覚が、少しずつ育まれていきました。

卒業後は地元の寿司店へ入りました。いわゆる高級店ではなく、地域の人々が日常的に足を運ぶ、本格志向の店でした。最初の仕事は掃除と仕込みの補助からで、包丁を握らせてもらえるようになるまでにも相応の時間がかかりました。しかしそのひとつひとつの工程に、寿司という料理の本質が詰まっていました。魚の目利き、仕入れの判断、仕込みのタイミング、そして握りのバランスなど。これらは教科書で覚えるものではなく、毎日の積み重ねによってしか身につかないものだと知りました。

カウンターに立ち始めると、技術とは別の学びが待っていました。お客様との距離が近い分、反応がそのまま返ってきます。笑顔で「美味しかった」と言ってもらえる瞬間の重さと、何も言われないまま帰られる日の静けさ、その両方が自分を育ててくれました。料理の味だけでなく、空間の空気感や会話のテンポ、居心地のよさまで含めて「店の価値」が成り立つのだということを、カウンター越しに体で理解していきました。

7年という時間は、技術の蓄積であると同時に、飲食業そのものへの解像度を上げていく時間でもありました。

店に属して働くにあたって、自分の中に明確な問いが生まれました。それは、「自分だったら、どんな店をつくるか」という事です。

寿司で培ったものを核にしながら、より幅広い和の料理を届けたい。敷居を高くするのではなく、日常の延長として通ってもらえる場所にしたい。その思いが固まったとき、独立という選択肢が現実的なものとして浮かび上がってきました。

しかし、一人で店をつくることは最初から考えていませんでした。飲食という仕事の面白さも難しさも、現場で共に過ごしてきた人間にしかわからない。だからこそ声をかけたのは、同じ飲食の世界で経験を積んできた仲間たちでした。

調理師として別業態の店でキャリアを重ねた者、ホールの現場でサービスを磨いてきた者、仕入れや原価管理に強みを持つ者。それぞれが異なる専門性を持ちながら、飲食への向き合い方という点では共鳴できる人間が集まりました。

チームをつくる上で大切にしたのは、役割の分担よりも先に、目指す店の姿を共有することでした。どんな客層に来てほしいか、どういう夜を過ごしてほしいか、スタッフ同士がどう関わり合う職場にしたいか。細かなメニュー設計よりも、そうした根っこの部分を何度も話し合いました。意見がぶつかることもありましたが、それ自体が店の骨格を強くしていったと感じています。

こうして生まれたのが、現在の和食居酒屋です。刺身・焼き物・煮物を軸に、季節ごとに変わるメニュー構成を大切にしながら、「気軽に入れて、ちゃんと美味しい」を体現する場所として営業を続けています。オープンから現在に至るまで、仕入れ・仕込み・調理・接客のすべてに現場として関わり続けています。

数字や売上だけでなく、お客様の反応やスタッフの表情、日々の小さな変化を積み重ねることが、長く続く店の土台になると信じているからです。

飲食の仕事は、人と人が直接つながる場をつくる仕事です。専門学校で学んだ基礎、7年の修行で得た技術と感覚、そして仲間と共に店をゼロから立ち上げた経験——それらすべてが今の自分と、この店を形づくっています。

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