当社は2006年の創業以来、主にトヨタや日産グループなど自動車産業向けに、工場内の生産ライン用圧入・成形・組立・検査などの自動化装置・ロボットシステムを設計製造してきた。
2015年には、精密部品加工で30年以上の実績を有するものの跡継ぎ不在で悩んでいた㈱オーエスイー(秋田県秋田市)を事業承継したことで、グループ内で設計→部品加工→組立→保守まで一貫生産できる体制を構築できただけでなく、これをきっかけに、熟練工の人手不足や新人教育コスト、中国や東南アジアの台頭による加工単価の下落や、多品種少量生産化による生産性(利益率)低下など、金属加工業界が抱える深刻な課題を当事者の立場で目の当たりにすることとなった。
実際、子会社オーエスイーの製造コスト構造を数年かけて定量的にデータを収集・分析したところ、工作機械を稼働させるために必要な「加工プログラミング工程」が製造コスト全体の50%を占めていることが判明した。
こうして、子会社の事業承継をきっかけにして、金属加工業界全体の人手不足と生産性向上の課題解決に寄与すべく、加工プログラミング作業をAIで完全自動化するソフトウェア開発に着手した。
このソフトウェアは工作機械の稼働にダイレクトに関わるプログラムを生成するものであるため、開発にあたっては、当社システムエンジニアによる「プログラミング作業」だけでは終わらず、AIが出力した加工プログラムを使って、当社の熟練加工者が実際に工作機械を稼働させてCAD図面どおりの加工を正確に行ったかどうかを検証する「テスト加工」が不可欠となる。この「テスト加工」を行うことで、「熟練加工者による加工結果の検証」→システムエンジニアへフィードバックして「プログラムやアルゴリズム修正」→修正したプログラムで再び「テスト加工」、という開発の循環プロセスを繰り返すことでソフトウェアの完成度を高めていくことが可能となる。
また、本製品は、弊社と導入ユーザーの共創によりソフトウェアを進化成長させていくことに賛同した加工企業がユーザーとなっており、加工結果のフィードバックや、改善要望などユーザーの声を取り入れながら、ソフトウェアの性能を日に日に高めていくところに大きな特徴がある。