COVID-19関連心筋炎は,心筋に高度の炎症を生じ急激に心肺停止や心機能低下を来す重篤な疾患である。研究代表者は,ステロイド剤の早期・予防投与が心筋炎に対して保護的に働き,マウスの早期生存率を改善すること,逆に遅延投与により生存率が悪化することを報告している(Journal of Cardiology 2013)。本研究課題の最終目的は,ステロイド剤の抗炎症作用に着目し,COVID-19関連心筋炎に対する予防投与法を薬理学かつ国際社会的に証明し論文化することで新型コロナウイルスによるパンデミックを終焉させることである。そこで酸素センターや野戦病院等と同様に,病院船を艤装しCOVID-19軽症者を船内に集め,さらにステロイド剤等の既承認医薬品のドラッグ・リポジショニングによる臨床試験(治験)を実施する。病院船を利活用することで,COVID-19のみならず他の感染症パンデミックにもより多面的に対応することが可能である。病院船の訓練航海と船内での災害時シミュレーション訓練をアジャイル型で進め,COVID-19を収束させつつ救える命を持続的に増やせる次世代型病院船システムを創出する。