ラクトフェリン(LF)は、新生児が一日当たり数グラム摂取しているため極めて安全性が高く、免疫賦活化・抗炎症・抗菌・抗ウイルス・抗酸化・抗腫瘍効果などを持つ多機能性タンパク質です。血中にあるLFは、直ぐに肝臓にて代謝されるため、ヒトIgG1抗体のFc領域を融合させたrhLF-Fc(特許第5855239号)やヒト血清アルブミンを融合させたrhLF-HSA(特許第7142915号)を開発しました。LFは、タンパク質や糖鎖への結合が他のタンパク質よりも多いことにより、多機能性を維持していますが、疾患ごとの特異的な相手(分子標的)が分かっていません。LFの新たな分子標的として、好中球細胞外トラップ(NETs)(特許第6327626号)やコンドロイチン硫酸E(CS-E)に結合すること(特許第7527638号)を発見しました。現在、過剰NETs形成により発症や増悪が生じる疾患(自己免疫性肝炎・敗血症・急速進行性糸球体腎炎など)や、CS-Eの蓄積が原因となる脊髄損傷の治療薬の開発を行っています。