この事業を始めた背景には、医学教育と研究を通じて直面した「産後うつ」と「子育て不安」の社会的な大きさがあります。日本では出産後の母親の約7人に1人が産後うつを経験するといわれており、「赤ちゃんが泣いている理由がわからない」というストレスに起因しています。
赤ちゃんの泣き声は、単なる「泣き声」ではなく、月齢や発達状態を反映する重要な生体シグナルです。しかし、これまでの研究は小規模であり、家庭環境に即した大規模データを活用した検証は不足していました。私はこの課題を解決するために、AIと医療を融合させ、泣き声から発達や健康状態を推定できる仕組みを構築することに挑戦しています。
「赤ちゃんの泣き声を“理解できる音”に変える」ことは、育児不安を減らすだけでなく、未病段階での発達支援や医療費削減にもつながる可能性があります。だからこそ私は、医学の視点と研究者としての技術を掛け合わせ、この事業を推進しています。