AI技術は、労働力に依存する産業構造を変革したり、デジタルの中に生きる人々の生活を支える技術として注目されますが、AIが安心と信頼をもって浸透するためには、産業の機密データの安全性やパーソナルデータのプライバシー保護を担保しながら、より柔軟にデータにアクセスし活用できることが重要と考えています。
私自身、データ分析の業務経験の中で、活用価値の高い機密データほど、オペレーション上の制約やその解消にかかる時間的・費用的コスト等、活用に至る障壁を感じました。その中セキュアコンピューティング(秘密計算)という暗号技術に出会い原論文を読んだ際に、世の中のデータへのアクセス・活用をなめらかにする要素技術としての普遍性とその美しさ、革新性に感動し、人生の基礎テーマにしようと決めました。
まだ知る人ぞ知る技術ですが、ビッグデータ時代、ゼロトラスト時代には重要な技術と信じており、技術の価値が理解され、技術への更なる注目と進展が世界で広まることが本望です。EAGLYSとして、産業界のデータ活用とプライバシー・セキュリティに、新たなブレイクスルーを起こしていきたいと思っています。
企業がデータ・AIシステムを運用する上で直面するリスクは、データ管理・活用時の情報漏えいリスク、プライバシー保護やガバナンス不適合等による損害リスクといったデータ自体のガバナンスの他に、AIモデルの運用上の振る舞いによる損害リスクもある。企業がデータの管理やAI運用をしていく上で発生するあらゆる損害リスクに対応できる技術を提供していくべく、以下図のロードマップとビジネス展開を予定している。
まずは、高機能暗号・秘密計算技術によりデータ活用へリスクを低減することで、企業のデータ活用促進に貢献する。次ステップとして、運用システムを信頼して企業間のデータ共有を実現するために、アクセス制御やプライバシー保護等のデータ分析制御・アクセス制御等を実現できる仕組みを構築する。更なる次ステップとして、セキュアにガバナンスしながらAI運用をできるよう、AIモデルのヘルスチェックやバージョン管理を自律的に行うことで、従来人的ミスでガバナンスできず損害となっていたリスクを低減することを見据えている。