きっかけは、フィリピンを旅したときの体験でした。現金しか使えないお店が多く、しかも、どの店なら安心して入れるのか、安心して払えるのかも分からない。その不安が、ずっと心に残りました。
帰国して確かめてみると、日本も同じでした。地方に行けば、現金のみのお店は珍しくありません。旅行者は不安から体験の機会を逃し、お店や地域も目の前の需要を取りこぼしています。
訪れる人も、迎える人も、どちらも損をしている。これを変えたいと思いました。
YOKOSO PAYが目指すのは、旅行者が安心して入れて、安心して払えるお店を地域に増やすことです。お店は手持ちのスマホやタブレットで、10言語での注文と支払いに対応できます。今はまず多くのお店に使っていただくことを優先していますが、将来は自治体と連携し、安心して利用できるお店に「公認インバウンド対応店」のマークを表示したいと考えています。
さらに、どの国の方が、どの町の、どの店で使ったかというデータを地域の意思決定へとつなげ、旅行者・お店・地域の三方よしを実現します。観光を、地域が本当に潤う力へ。それが、私たちの続ける理由です。
私たちは、小さなチームです。だからこそ、一軒一軒のお店に直接伺うことから始めています。
新しい仕組みと聞くと、身構えてしまうお店も少なくありません。機械は苦手、準備する時間がない、外国のお客様にどう接すればいいか分からない。その気持ちは、もっともだと思います。
だから私たちは、メニューの登録からQRの設置、スタッフの方への説明まで、お店の隣で一緒に行います。商品は写真から登録でき、メニューは自動で10言語に翻訳されるので、準備の手間はほとんどかかりません。
使っていただく中で出てきた「ここが分かりにくい」という声は、自分たちで開発しているからこそ、すぐに直せます。2026年3月の正式版から約半年で、30回の改修を重ねてきました。
今はまだ、神奈川県平塚市のお店での実験運用から始まったばかりです。10月のひらつか産業FESでは、町を巡るQRスタンプラリーとAR宝さがしを運用します。
一軒のお店の「外国のお客様が来てくれて、うれしい」を、町じゅうに広げていきたい。その景色を一緒につくってくださる企業や自治体の皆さまと出会えたら、とても心強いです。