カーボンニュートラル達成に向け、近年、世界的に再生可能エネルギーの利用が増加しています。再エネによる電力供給は時間帯・天候による変動が大きく、エネルギーを安定供給できない課題があります。そのため再エネは、火力・原発への依存により成立する側面をもち、「再エネ利用が増えれば増えるほど火力・原発依存が強化される」という構造的な問題を抱えています。また、農業、畜産、工業製品の生産過程におけるCO2の排出削減には限界があり、産業の性質上完全なる脱炭素化を達成できない事実があります。火力・原発への依存とCO2排出削減の限界から、現状のままではカーボンニュートラル達成は厳しい背景となっています。
今まで有効活用できなかった海の再生可能エネルギーを利用してCO2を直接回収することで、カーボンニュートラルへ貢献すると同時にカーボン・クレジットとして取引することで、新たな経済的効果を生み出します。また、世界第6位の海洋面積を誇る日本では、海から得たグリーン水素を海外へ輸出することで、エネルギー輸入国から輸出国への構造転換が可能となります。Wave-DACの実用化は、気候変動とエネルギーに翻弄される世界をより豊かで安定した新しい時代へ導く礎になると考えています。