私が本事業を始めたきっかけは、「社会を豊かにし得る研究室の技術を世の中へ普及させたい」というものです。本事業は主に宝飾品としてのダイヤモンドがメインですが、将来的には半導体としてのダイヤモンドの普及も行いたいと考えています。様々な場所で様々な組織が様々な研究を行っていますが、研究が研究のまま終わるものは非常に多いです。その中で、研究で発見したダイヤモンドの可能性や将来性を、同様な形で終わらせたくないと強く思いました。特に半導体としてのダイヤモンドは非常に可能性があり、その消費エネルギー量の小ささから、省エネルギー化・脱炭素社会・カーボンニュートラルといった環境問題を解決しうる可能性があると考えられています。それらを実現させるためには、研究から事業化への移行フェーズを経る必要がありますが、弊社がそれらを担いたいと考えています。
また宝飾品事業としても様々な社会問題を解決し得ると考えています。現在大量に流通している天然ダイヤモンドは、採掘による環境破壊・産地をめぐる紛争・過酷な労働環境と社会問題を抱えています。それらを合成ダイヤモンドでリプレイスすることで解決を目指します。
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我々の理念は「ダイヤモンドの持つ可能性を具現化し、持続的発展可能な社会をつくり、人々を豊かにする。」というものです。本事業では宝飾品をメインに取り上げましたが、それ以外に特に半導体材料としてたくさんの可能性をダイヤモンドは持っています。一番大きいところで言うと、「パワー半導体材料」です。ダイヤモンドは究極の半導体材料と呼ばれ、高耐圧、高熱伝導率、高キャリア移動度等から、デバイスとして使用した際の消費電力が非常に小さいです。具体的には、現在使用されているSiの約1/90000程度です。現在SiCやGaN等新しい半導体材料が開発されていますが、その次の世代の半導体材料となるでしょう。それらを実現させるためには「ウエハー開発」が必須なのですが、ウエハー製造技術と宝飾品ダイヤモンドを製造する技術が非常に共通する部分が多いです。
以上より、本事業の成長戦略として、本事業で培ったダイヤモンド合成技術を使用して半導体ダイヤモンドウエハーの製造事業への展開を考えています。