私たちは、MEMS/マイクロデバイスと歯科の融合領域で、人間の唾液と呼気を総合分析できる「世界初」の早期診断用IoTデジタルプロダクト開発を行っています。
日本のものづくり業界は世界的にみて、大きく遅れを取っています。ウェブ情報だけでなく、実際に海外のトレードショーに招待され足を運んだ私が直接体験したことから、確実にアジアの中でも遅れを取っていることは明らかです。
特に私共が取り組んでいる半導体/MEMS事業は、2007-2012に起こった世界的金融危機で、国家からの研究開発費が大幅に削減されたまま、日本はどんどん海外競争力を失ってきています。
一方アジア圏中国/台湾/韓国は、上記金融危機の期間を経ても潤沢な研究開発資金が支出されたため、半導体等海外市場において確固たる地位を築きました。
したがって、欧米のトレードショーでは中国/台湾/韓国のヘルスケアスタートアップはかなり出展していたにも関わらず、日本企業はゼロという惨憺たる結果でした。
この事情を打破すべく、私たちは人々の日常生活状況を視覚化し、次世代トータルヘルスケアを実現したい!と本気で考えています。
唾液は、食事や甘味摂取により酸性に傾いた口腔内のpHを中性に調整しようとする緩衝作用や、食べ物の破片に水分を含ませ適度な粘性を持たせることにより、効率よくのみ込みやすくする嚥下効率化作用、唾液中の酵素により体内消化器官で消化しやすくする易消化作用等様々な機能を持っています。
呼気は、VSC; Volatile Sulfur Complex(揮発性硫黄化合物)ガスに代表される口臭の成分を検知することで、様々な疾患の状況を早期に把握できることが言われています。
したがって、唾液中に含まれるバイオマーカーや細菌と、呼気中のガス成分を検知することで、生体内の情報をオンタイムでモニタリングすることも可能なのです。
一方で、常に外界にさらされ食物を体内に取り込む口腔内は、様々な外来物質や余分な障害物質を含むため、血液と比べ100〜1000分の一の有用な生体情報しか得られないとも云われています。
そこで我々は、少量のサンプルでも解析可能な機能を持つMEMS の技術を応用した、医科歯科/工学両側面からアプローチを行うことを想起しました。