近年のITシステム規模拡大に伴う国内データセンター(以下、DC)消費電力の増加は、国の重要なエネルギー課題と考えられています。下図は、国内DCの年間総消費電力の推移を予測したグラフです。同図より国内DCの総消費電力は、2030年予測で年256億kWh(2020年比で約60%増)に達すると予測されています。特に問題なのは、その消費電力の約1/3(約84億kWh:1344億円相当分)が、装置を冷やすための冷却電力であることです。単に熱を移動させるために使われている浪費電力とも言えます。そして、この膨大な浪費電力の1年間の合計は、100万kWの火力発電所の1年間の発電量に相当します。今後、仮に何も対策を行なわなければ、2010年~2030年までの十年間でのこの冷却電力の金額ベースでの累積総額は約1.2兆円に達すると試算され、このままでは前記の通り、無作為に浪費されてゆくことになります。この様な膨大な冷却電力が省電力化されていない理由は、全てのDCが、これまで空冷方式のみを採用して来たことが原因であり、このままでは今後も変わらないと予測されています。
既存のDCでは、なぜ空冷方式しか採用されてこなかったのか?その理由は、空冷方式が、非常に安価で採用実績がある点と、空冷に代わる明らかに有利な代替手段が無かったことが考えられます。そこで、弊社では、冷却対象の熱源(CPUやGPUなど)からの熱エネルギ-を用い、無動力で大容量・高速熱搬送を可能とした世界で唯一の新ループヒートパイプ(以下、LHP)技術の実用化を目的としています。